【2月25日 Xinhua News】中国北京市西城区什刹海の「会賢堂」は100年余り前、文豪の魯迅(ろじん)や京劇の名優、梅蘭芳(メイ・ランファン)など名士が集う社交の場だった。北京「八大堂」の一つに数えられるこの場所で今、古い歴史のある「囲炉煮茶(七輪を囲んでお茶を楽しむ)」が復活している。

 会賢堂の一角にキャンプをイメージしたダイニングバーを昨年5月にオープンした仝姍姍(どう・さんさん)さん(31)は「みんなで七輪を囲んで雑談し、お茶を飲み、景色を楽しむことで、都会の騒がしさの中でも静けさを感じ、生活や仕事のストレスからつかの間解放される」と説明。同店では「囲炉煮茶」を始めてから2カ月で、500件以上のオーダーがあったという。

 冬を迎えてからインターネット上で人気が高まり、新たな「映えスポット」となった。SNS型ECアプリ「小紅書(RED)」での関連の書き込みは75万件を超え、動画投稿アプリ「抖音」での関連動画の再生回数は50億回近くに上っている。

 中国ではここ数年、住民の可処分所得の増加に伴い、若い世代を中心とした新たなスタイルの喫茶市場が急成長している。中国茶は国際社会からも広く認められており、昨年は「中国伝統製茶技術とその関連習俗」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録された。

 北京市社会科学院市情研究所の唐鑫(とう・きん)所長は「囲炉煮茶」や新たなスタイルの喫茶が消費を喚起し、消費の新たな成長分野になっていると指摘。時代の特性と中国の伝統文化を結び付けたことが人気につながったと語った。(c)Xinhua News/AFPBB News