【2月27日 AFP】ウクライナ紛争の戦車や塹壕(ざんごう)戦は時代遅れのようにも見える。だが、米軍事専門家は、同紛争が中東や台湾など、将来的に起こり得る紛争に対して戦略的な知見を与えるものだとの見方を示している。

 それは大量の兵器を保有する必要性というありふれたものから、ハイテク分野に及ぶ。ウクライナ紛争は、人工知能(AI)やロボット戦争の実験場になっているためだ。

■人工知能 

 米コロンビア大学(Columbia University)の軍事専門家スティーブン・ビドル(Stephen Biddle)氏は、ウクライナ紛争では、さまざまな戦場の全体像を把握する「センサーフュージョン」が試されていると説明する。

 米企業のパランティア(Palantir)は、AIに支援された装置をウクライナに提供。大量のデータに基づいてロシア軍部隊の動きや位置、標的をリアルタイムで軍司令官が把握するのを手助けしている。

■自律型ドローン

 ウクライナ紛争では、ドローン(無人機)戦争の時代に突入した。両軍はドローンの能力においてほぼ拮抗(きっこう)しており、世界各国の軍も遅れないよう対応を急いでいる。

 近い将来に予想されるのは、人間が最終決定を下さずに、自らが攻撃を実行に移すようプログラムされた自律型ドローンだ。このような「殺人ロボット」により、軍の司令官や政治家のコントロールを離れて戦争が行われるのではないかとの懸念が生じている。

 しかし、そうした将来的な懸念はすでに一部で現実化している。ウクライナ軍は、「目標認識」機能を持っている米国製の徘徊(はいかい)型ドローン「スイッチブレード(Switchblade)」を使っている。