【2月18日 CNS】新型コロナウイルスの流行が続いた3年の間、中国ではメンタルヘルスに問題がある人が増加した。「心の病は心の医師が治す」というのが常識だが、専門医が不足しているのが実情だ。

 清華大学(Tsinghua University)心理学科の牟文婷(Mou Wenting)准教授は「中国の医学界ではメンタルヘルスの対応は初期段階にあり、悩みを抱える側も治療費を支払う意欲は低い」と分析。コロナ禍により、メンタルヘルスサービスの供給と需要のアンバランスがさらに拡大している。

 そんな中、インターネットを通じて診断と治療をする「オンライン診療」が注目を集めている。中国政府は2020年3月から2021年9月にかけて、インターネット医療を促進する政策を次々と打ち出している。

「2022ビリビリ(Bilibili)青少年メンタルヘルスリポート」によると、2021年には約9776万人が動画共有サイト「ビリビリ」でメンタルヘルスの知識を学んでいる。そのうち76%が24歳以下で、関連動画は76億回再生され、「不安」「うつ病」「ストレス」などのキーワードは9930万回検索された。

 中国では2019年から実験的にオンライン心理診断・治療プロジェクトが行われており、これまでに20万人が利用し、6万人が有料で参加。インターネットを通じて専門家からのメンタルに関する質問に答え、自助トレーニングの提供を受けている。軽度から中度の精神的苦痛を抱える会社員や学生らに歓迎されている。

 プロジェクトの創設者である郭婷婷(Guo Tingting)氏は「ネットユーザーの間では『メンタルジム』とも呼ばれています。本当に深刻なうつ病などは病院で治療を受ける必要はありますが、実際の心理カウンセリングのレベルは均一ではありません。標準化されたデジタルメンタルヘルスサービスは、需要と供給のアンバランスを埋める効果があります」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News