【2月16日 AFP】タイで2018年に約3週間洞窟に閉じ込められ、生還したサッカーチームの少年12人のうちの1人が、英国でサッカー留学中に死亡したことが分かった。当局が15日明らかにした。

 寄宿学校ブルーク・ハウス・カレッジ(Brooke House College)は、ドゥアンペット・プロムテープさん(17)が14日にイングランドの病院で死亡したと確認した。ドゥアンペットさんは、タイ北部の洞窟に閉じ込められた少年サッカーチーム「ワイルド・ボアーズ(Wild Boars)」のキャプテンだった。

 現時点で死因は公表されていないが、警察によると「事件性はないとみられる」という。

 警察によると、12日にある生徒の健康状態への懸念から警察が学校に呼ばれた。生徒はその後、病院に搬送され、14日に死亡した。今後、検視官が死因を特定する。

「ジーコ(Zico)」の愛称で知られるタイ・サッカー界の伝説的選手キャティサック・セーナームアン(Kiatisuk Senamuang)氏の慈善団体ジーコ基金(Zico Foundation)は、ドゥアンペットさんの英留学3年分の奨学金の獲得を支援した。

 キャティサック氏はベトナムからオンライン会見を開き、「彼の声がまだ耳に残っている。彼には夢があった。プロのサッカー選手になって、国の代表になりたいと言っていた」と話した。

 ドゥアンペットさんは昨年、ブルーク・ハウス・カレッジで学ぶサッカー奨学金を授与されており、ジーコ基金が初めて外国に送り出した学生だった。

 ドゥアンペットさんの母親は「遺体を母国に帰国させたいが、私たちには(金が)あまりない。(息子は)家族の柱だった」と話した。

 2018年6月、18日間にわたり洞窟に閉じ込められた少年らの救出劇は世界の耳目を集め、映画やドキュメンタリーが作られ、本も出版された。

 ドゥアンペットさんは昨年8月、インスタグラム(Instagram)に「きょう、夢がかなった」「集中して全力を尽くす」と投稿していた。(c)AFP/Jitendra JOSHI