【2月16日 AFP】トルコ南部でマグニチュード(M)7.8の地震を生き延びた人々の安堵(あんど)感は、被災地でまん延の恐れのある病気に対する不安へと急速に変わりつつある。

 無傷で残った建物はほとんどなく、トイレやシャワーなど生活に必要な設備は6日未明の本震でほぼ失われた。

「トイレがない」。震源に近いカフラマンマラシュ(Kahramanmaras)に住む女性、フスネ・デュズさん(53)は言った。「誰もが(避難)テントの近くで用を足している。トイレが必要だ。シャワーも浴びられるようにしたい。洗濯機も必要だ」

 50万人近い人口を抱える古都アンタキヤ(Antakya)は、街全体ががれきの山と化した。住民のセデフさん(18)はAFPに対し、衛生環境が劣悪で絶望的だと話した。「地震では死ななかったが、間違いなく病気で死んでしまう」と不安を口にした。

 被災地の至る所で仮設トイレの設置が始まっているが、必要数にまったく追い付いていない。ボランティアが運営する仮設薬局で薬を受け取っていたヌルハン・トゥルンクさん(42)は「それが最大の問題だ」と語った。「早朝はまだ何とかなるが、(トイレは)本当に汚くて悲惨な状態だ。水も出ない」

 アンタキヤ中心部の橋の上には仮設トイレが15個並んでいたが、容量を超えているのは明らかで、排せつ物が路上にあふれかえっていた。

 それでもセデフさんは、避難先の学校のトイレがもっとひどかったので、ここのトイレを使わざるを得なかったと言う。

 ある仮設トイレには「人間らしく使ってください」と書かれた貼り紙があった。(c)AFP