DV被害対策の先進国スペイン、現状と課題
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■DVの傾向を示す兆候
エステルさんと同じく、ノエリア・ミゲスさん(29)も自分がDVを受けている自覚がなかった。
元交際相手に首を絞められ、8回刺された。助かったのは死んだふりをしたからだ。
今ではDVの傾向を示す兆候が分かるようになった。「最初から自尊心を傷つける態度を取る、ばかにする、すごむ、つばを吐く」行為などを例に挙げた。
だが、被害者の気付きだけに頼るのではなく、司法制度そのものに不備があり、DV被害を未然に防げていないのではないか見直す必要があるとペラマト氏は主張する。
昨年発生した殺人事件のうち、被害者の女性が加害者に対して既に法的手続きを開始するか、加害者に前科があったものが全体の43%を占めた。
ミゲスさんの場合は、警察に相談すると、交際相手は別れた恋人に暴力を振るい、有罪判決を受けていたことが分かった。
スペインの左派政権は今月、パートナーに暴力を振るった前科がある場合、ケース・バイ・ケースではあるが、警察はDV被害を相談した女性に危険を警告できる制度を導入した。
■リスクレベルを判定するプログラムの穴
スペイン当局は2007年以降、DVの危険性をアルゴリズムで判定する「VioGen」と呼ばれるプログラムを採り入れている。
だが、ジェンダーに基づく暴力の根絶を訴える人々は、カナリア諸島(Canary Islands)で46歳の女性が殺害された事件でこのプログラムの欠点が浮き彫りにされたと指摘し、改善の必要性を訴えている。
昨年12月、この女性は元交際相手を告訴したが、後に取り下げた。地元メディアによれば、その結果、VioGenは女性に対するリスクレベルを下げた。翌日、女性は元交際相手に殺害された。
ヨシュア・アロンソさんは、子どもや若者を対象にジェンダーに基づく暴力に関する啓発的なワークショップを行っている。アロンソさんの母親は2017年、元交際相手に自宅を放火され、2人共、焼死した。
スペインはジェンダーに基づく暴力との先駆的な取り組みを評価されているが、記録が開始された2003年以降、殺害された女性は1000人を超えており、道のりはまだ長いとアロンソさんは言う。
「こうした取り組みでスペインが先頭に立っているなら、他の国の実態はどうなっているのか考えたくもない」と話した。(c)AFP/Marie GIFFARD