アラビアガムの主産地スーダン、重労働嫌い離農止まらず 若者つなぎ止めが鍵
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【2月21日 AFP】アフリカ東部のスーダンは、清涼飲料水や医薬品の製造に欠かせない「アラビアガム(アカシア樹脂)」の世界最大の生産国だ。しかし、炎天下での重労働を嫌って離農する生産者が後を絶たず、若者をつなぎ止められるかが鍵となっている。
アラビアガムは、豆科アカシア属のアラビアゴムノキから採取した樹液を固形化したもので、乳化剤として飲料やガム、医薬品などに広範に使われている。
700万人の会員を擁するアラビアゴム農業組合(Gum Arabic Farmers' Association)のファトマ・ラムリ氏はゴムノキについて「干ばつに強く、砂漠化との闘いにおいて重要な木だ。農作物の収量拡大に必要な土壌の肥沃(ひよく)化にも役立っている」と語った。
樹液の採取は、厳しい暑さの中で行われる。北コルドファン(North Kordofan)州の州都オベイド(Obeid)から約30キロの距離にある国営デモカヤ(Demokaya)研究林で働くモハメド・ムーサさんは「焼け付くような太陽の下、何時間も働く」と話す。
国土の大半が乾燥地帯のスーダンは、慢性的な水不足の状態にある。ムーサさんは樹液採取の仕事を通じて、次の雨期が来るまでに必要な水を買うだけの収入を辛うじて得られるという。
■手間がかかる仕事
国連食糧農業機関(FAO)によると、コルドファン地方の平均気温は30年足らずでほぼ2度上昇した。これは世界平均の2倍以上に当たる。
スーダン農業研究機構(Agricultural Research Corporation)のマダニ・イスマイル氏は、ゴムノキ栽培地の住民にとって、水不足が最重要課題の一つとなっていると指摘する。
北コルドファン州ボテイ(Botei)に28ヘクタールのゴムノキ園を所有するアブデルバキ・アハメドさん(52)は、生産コストをぎりぎり賄える程度の収入にしかならないと語った。
「手間がかかる仕事だ」と、アハメドさんは言う。臨時で人を雇わなければならないこともあり、たいていはもうけにならない。
そのため、樹液採取をやめ、建材やまき用に木を伐採してしまう人も出てきた。アハメドさんの5人の息子のように、近くの金鉱山で働くことを選択する人も多い。
デモカヤの畑で働くアブダラ・バビケルさん(72)の息子3人は、木の世話をするくらいなら金を掘るほうがましだと考えている。「息子たちは稼げる仕事をしたいんだ」