【2月9日 AFP】オーストラリア政府は9日、国防省の建物に設置されている中国製監視カメラについて、「安全性を完全に確保するため」に撤去すると明らかにした。

 米英両政府も、安全性の確保が求められる場所に設置されている中国製監視カメラの運用を停止するよう省庁に命じている。両政府は、中国企業が政府からカメラが記録したデータを共有するよう迫られる恐れがあることを懸念していると説明している。

 豪州の野党政治家がまとめたところでは、同国の250か所以上の政府の建物に少なくとも913台の中国製監視カメラが設置されている。これには、国防省や外務省、財務省などの施設も含まれていた。

 豪州のリチャード・マールス(Richard Marles)副首相兼国防相は、国防省に関連した施設に設置されている全ての中国製監視カメラを探し出し、撤去するよう指示したと述べた。

 マールス氏は公共放送ABCに対し、「こうした取り組みを進め、われわれの施設の安全性を全面的に確保することは重要だ」と述べた。

 豪州の公共機関に設置されているカメラの大半は、中国監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン、Hikvision)か浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー、Dahua Technology)の製品が使われている。両社は、中国政府の「抑圧政策」を支援しているとして米政府のブラックリストに掲載されている。

 中国政府は9日、豪国防省の決定を受け、同国で活動する中国企業を「公正」に扱うよう求めた。中国外務省の毛寧(Mao Ning)報道官は「豪州が中国企業の正規の活動に対して公正かつ被差別的な環境を提供するよう望む」と述べた。(c)AFP