【2月8日 AFP】オランダのアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)で10日から、「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」や「牛乳を注ぐ女(The Milkmaid)」で知られるオランダ美術の巨匠ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)の過去最大の展覧会が開催される。

 タコ・ディビッツ(Taco Dibbits)館長は内覧会でAFPに対し、「過去に28点ものフェルメールの名作が一堂に集められたことはない」と語った。フェルメール自身でさえ「これほど多くの自分の絵を一度に見たことはない」という。

 現存する約35作品の4分の3が展示される。学芸員は、これほど多くがそろうのは「最初で最後」になるだろうと話した。

 東京をはじめ、米ワシントンやニューヨーク、英ロンドン、仏パリ、アイルランド・ダブリンなどの美術館やコレクションから作品が集められ、今回の展示が実現した。

 開幕前から期待が高まっており、同館で催される一つの展覧会としては最多となる20万枚の入場券がすでに売れた。会期は6月4日まで。

 フェルメール(1632~75年)は、キリスト教の一派カルバン主義の商人の家に生まれたが、カトリック教徒で裕福な妻と結婚する際にカトリックに改宗した。妻との間に11人の子どもをもうけた。

 レンブラント(Rembrandt)など他のオランダ美術の「黄金期」に活躍した画家たちに比べ、フェルメールの人生に関する記録は少なく、19世紀に再評価されるまでほとんど注目されていなかった。

 90年代に米作家トレイシー・シュヴァリエ(Tracy Chevalier)氏が「真珠の耳飾りの少女」をモチーフにした同名の小説を発表すると、フェルメールの知名度は確固たるものになった。小説はハリウッド(Hollywood)で映画化もされた。

 内覧会に訪れていたシュヴァリエ氏はAFPに、「人々が一堂に会した絵画を鑑賞でき、実際にフェルメールがどのような存在だったのかという実像を構築できるのは喜ばしいことだ」と話した。(c)AFP/Danny KEMP