【2月8日 AFP】トルコとシリアに甚大な被害をもたらした地震をめぐり、シリアへの支援の手を差し伸べている欧米諸国や援助団体が難題に直面している。10年以上続く内戦により、シリアが分裂状態に陥っているためだ。

 シリアは、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領率いる政権の支配地域、イスラム主義者や親トルコ派などによる反体制派支配地域、少数民族クルド人の「自治区」の三つに分かれている。アサド政権は、欧米諸国から国際社会の「のけ者」として扱われている。

 国際援助団体や欧米諸国は、シリアへの緊急援助に際して複雑な支援ルートという問題に対処しなければならず、特に反体制派支配地域に対する支援に苦慮している。

 医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」でシリアを担当するマルク・シャカル氏は「シリアは依然として法的、外交的な観点からはグレーゾーンだ」と指摘する。

 地震の被災者のほぼ半数が、欧米に制裁を科されているアサド政権の支配地域に居住している。残りは、反体制派の最後の本拠地であるイドリブ(Idlib)県や、トルコが支援する反体制派が支配するアレッポ(Aleppo)県に住んでいる。

 両地域には、約400万人が居住しており、内戦で避難民となった人々が大半で、多くが人道支援に依存している。フランスのNGOに所属するラファエル・ピッティ医師は、震災が起きる前からイドリブ県の状況は劣悪であり、同県に対する支援は死活的に重要になっていると強調する。