【2月19日 AFP】フィンランドの都市オウル(Oulu)では、冬の気温が氷点下25度に下がっても自転車に乗る人たちがいる。

「冬季サイクリングの中心地」を自称するオウル。北極圏の南わずか160キロほどに位置するが、子どもたちの大半は真冬でも自転車で通学する。まさに環境に優しい交通手段のお手本だ。

 食料品の買い出しを終えて自宅に戻ったアリ・カルヤライネンさんは「自転車には一年中乗っている。車は持っていない」とAFPに語った。

 雪が降っていても地元住民は厚着をして自転車で移動する。そのため市内中心部の駐輪場には空きスペースがほぼない。寒い中を移動する人々の後には、白い息が筋となって流れる。

 多くの人は、幅広で滑りにくい冬用タイヤを使う。中にはスタッド付きのもの見られる。その一方で、一年中同じタイヤを使い続ける人もいる。

 市の交通局で技術者として働くハッリ・バーララ(Harri Vaarala)さんは「わたしたちは冬に慣れているから、そんなに大変なことだと思わない」とAFPに語った。

  沿岸部に位置するオウルでは、雪に覆われ、気温が氷点下となる時期が毎年約5か月続く。それでも、市内の移動の5分の1は自転車によるものとなっている。

 バーララさんは、主要な自転車用レーンが自動車道よりも優先的に除雪されることもそれを可能にする理由の一つと話す。

■「価値感に基づく明確な意思」

 市内のある学校では、生徒1200人のうち1000人が冬の間も自転車で通学している。

 バーララさんによると、オウルは自転車による移動を支援するため、時に自動車よりも自転車の利用者を優先するなど、「価値感に基づく明確な意思」を示してきた。

 また、冬季の道路整備を行う請負業者を選定した時には、除雪車の運転手とその管理者が自社の整備ルートを自転車で走行することが条件の一つとなった。

 オウルでは、数多くの「自転車エージェント」が雇用されており、自転車用レーンがきちんと整備されているかの週次報告を義務付けている。この評価が請負業者のボーナスに直結している。

 他方で、道路周辺の標識が雪で覆われるオウルでは、冬の自転車利用をより安全にすべく新たな技術を取り入れ、試行を重ねている。

 一部の自転車用レーンで雪の上にプロジェクターで投影される標識もそうした試みの一つ。(c)AFP/Elias HUUHTANEN