【2月26日 AFP】ロシアはキャビア生産に深くかかわっている──。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、こうした従来からの不正確な見方に明確な終止符を打つべく、欧州の主要なキャビア生産者が動いている。

「多くの人にとっては、キャビアといえばロシアだ。しかし、もう長いことそのような関係性にはない」とポーランドのキャビア生産業者「アントニウス・キャビア(Antonius Caviar)」セールス兼マーケティングマネジャーのアガタ・ワコミアックビンニッカさんは言う。

 同国北東部の村ルシ(Rus)にある同社は、世界最大級のキャビア生産業者で、2021年の生産量は42トンに上った。これは欧州のどの業者よりも多く、また世界トップの中国の業者と比較しても見劣りしない数字だ。

 販売価格は、一般的なキャビアでは1キロ当たり1200~2400ユーロ(約17万~34万円)で、アルビノの個体から採れる色の薄いキャビアは最高で8000ユーロ(約110万円)となっている。

 現在、世界中のキャビア生産業者は「ロシア産キャビア神話」の問題に直面している。

「パッケージに『ロシアの伝統』とか『ロシアの製法』とあっても、その99%はロシア産ではない」と、ワコミアックビンニッカさんは言う。

 これまでキャビアは、カスピ海(Caspian sea)や黒海(Black sea)のチョウザメから採られた卵として広く知られていた。ロシアとイランでの生産が世界的に有名だ。

 しかし、長年続いた乱獲と環境汚染でチョウザメの個体数は激減し、現在は絶滅危惧種として保護の対象となった。

 そのため、今日のキャビアの多くは養殖されたチョウザメを使って生産されており、ロシアの天然ものとはほぼ関係がない。

 しかし、ロシアとキャビアを切り離せずにいる消費者はいまだに多い。ウクライナ侵攻に反対し、ロシア産の商品を手に取りたくない人にとってこれらは問題となる。