■不気味な静けさ

 7日午後には、カフラマンマラシュ中心部に不気味な静けさが訪れた。

「きのうは、がれきの下から多くの人の助けを求める声が聞こえていたが、けさは静かだ。寒さで亡くなったのだと思う」と40代の男性は話した。

 運よく生き延びた人々は暖を取るため、たき火の周りで身を寄せ合っていた。冷たい雨風をしのぐために車の中で過ごす人もいる。気温は、一晩で氷点下3度まで下がった。

 60代のクマ・イルディスさんは「政府の役人はどこにいるんだ? 情けも思いやりもない」と憤りをあらわにした。

 5月の大統領選で苦戦が予想されるレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は7日、被災者生活再建支援などに1000億リラ(約7000億円)を支出し、直ちに軍を投入して捜索・救助活動を支援すると約束した。

 スレイマン・ソイル(Suleyman Soylu)内相はカフラマンマラシュ県を訪問。テレビの生中継で、現地では2000人が捜索・救助活動に当たっていると主張した。

 シリアと国境を接するトルコ・ハタイ(Hatay)県では、NGO職員のオヌール・カヤイさん(40)が母親と弟を助けてほしいと災害救助車両2台を追い掛けていたが、徒労に終わった。

「今すぐ助けが要る」と損壊した建物の前を歩き回りながらカヤイさんは話した。「母の声は大きくなっているが、弟の声はしない」

 幼稚園教諭のセミレ・コバンさんも、救助隊の到着を辛抱強く待っていた。おいと、親族2人ががれきの下敷きになっているが、呼び掛けても返事がないという。

「救助隊は、がれきの下から声が聞こえる場所での救助を優先する」と話した。(c)AFP/Volkan Nakiboglu with Kadir Demir in Hatay