【2月8日 AFP】車いすテニスの四大大会(グランドスラム)で通算50勝を挙げたレジェンドの国枝慎吾(Shingo Kunieda)が7日、引退会見を行い、車いすテニスに対する世間の見方が変わり、「スポーツとしての舞台にようやく上がってきた」ことへの達成感を口にした。

 車いすテニス界のロジャー・フェデラー(Roger Federer)とも呼ばれる国枝は、グランドスラムでの優勝に加え、パラリンピックでは四つの金メダルを獲得し、2021年の東京大会では自身三つ目となるシングルスのタイトルを獲得した。38歳で現役に幕を下ろすまで、世界ランキング1位の在位期間は合計で582週に上った。

 国枝は、2004年のアテネパラリンピックで初めて金メダルを獲得したときには、新聞のスポーツ欄にもなかなか載らなかったが、そこから状況は「本当に変わった」と感じている。

「東京が終わった後の反響は、スポーツとしてというところの手応えがあった」と話した国枝は、「今まではスポーツとして皆さんの目を変えたいといったところにプレッシャーを感じていたのが、(昨年は)1年間まったく感じなかった」と続け、「ようやく純粋にテニスができて、相手と向き合えるようになった」と語った。

 昨年、自身10回目の年間1位を獲得した国枝は、パラリンピック史上最高の選手の一人として現役を終える。2016年にウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)の男子シングルスが創設される前には、年間グランドスラムを5回達成。最後に残っていたウィンブルドンのタイトルも昨年、決勝でアルフィー・ヒューエット(Alfie Hewett、英国)に勝利して獲得した。

 国枝は「昨年、最後に残されたウィンブルドンのタイトル、あれを優勝が決まった後、チームとみんなで抱き合っていたが、そのときに一番最初に出た言葉というのが、『これで引退だな』というものだった」と明かした。

 日本政府は国枝に、スポーツや娯楽、文化の面で大きな業績があった人物、団体に贈られる国民栄誉賞を授与することを検討している。(c)AFP