【2月7日 AFP】英国内の不動産のうち約5万2000件が匿名の投資家により所有されており、「ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)に近い」人物も含まれるとする報告書が7日、公開された。

 報告書は、反汚職団体「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」英国支部がまとめた。これによると、総額67億ポンド(約1兆円)相当の不動産が、「秘密のオフショア企業」経由で「疑わしい資金」を使って購入されていた。特にロンドンの高級物件が多いという。

 総額の2割以上に当たる15億ポンド(約2400億円)が、対ロ制裁の対象となっている個人やロシア大統領府に近い人物を含むロシア投資家からの疑わしい資金だった。

 英政府は昨年8月、不動産取引の透明性を高める登記制度を導入。外国企業に対し、英国内で所有するすべての不動産の最終受益者を申告するよう求めた。

 報告書によると、1万8000社以上の外国企業が、イングランドとウェールズに5万2000件近くの不動産を所有している。

 これら企業は、「法律を全く無視しているか、実際の所有者を一般人が調べるのは無理な情報を提出している」と指摘。「クレプトクラート(泥棒政治家)やオリガルヒ(新興財閥)、制裁対象の個人が所有する企業もこれに含まれている」としている。

 英国は依然として不正資金の「ハブ(中心地)」となっており、政府にさらなる対策を講じるよう求めている。(c)AFP