【2月10日 People’s Daily】国連は昨年12月、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第2部ハイレベル会議で、中国政府が推進する「中国山水プロジェクト」が国連による初めての「世界生態系回復フラッグシップ」の10大プロジェクトの一つに選ばれたと発表した。

 中国山水プロジェクトは、山、川、森林、農地、湖、草原、砂地を統合的に保護・回復するプロジェクト。国連環境計画(UNEP)は「中国山水プロジェクトはがすべての生態系を『生命の共同体』と見なし、絶え間ない努力によって中国国内の数百万ヘクタールの土地を回復した」と評価した。

 同プロジェクトは2016年以降、「3区4帯」の重要生態保護エリアで44件のプロジェクトを実施。劣化した生態系の状況に応じて、環境の保全や回復を進めている。安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)の巣湖流域では6段階に分けた生態保護と回復プロジェクトを実施し、湖周辺の10大湿地の保全を完了した。湖北省(Hubei)は長江(揚子江、Yangtze River)の三峡地域で治水・治山、護岸、土壌改善、森林保護を積極的に行い、生態系の保護と復元における「湖北モデル」を探求している。甘粛省(Gansu)は黄河(Yellow River)上流の甘南地区で総合的な保護・復元事業に取り組んでいる。

 こうしたプロジェクトは、それぞれの地に豊かな利益をもたらしている。 湖北省の長江三峡流域では、化学工場が川を包囲するような景観が変わり、長江スナメリ(小型イルカ)が姿を見せるようになった。甘南地区は黄河源流の58.7% の水を供給し、「中華の貯水池」の役割を果たしている。合肥市は「国際湿地都市」の第2陣リストに選ばれた。

 中国は現在、350万ヘクタール以上の生態系保護・修復を完了し、 2030年までに1000万ヘクタールの自然を回復する目標を掲げている。

「世界生態系回復フラッグシップ」は、国連環境計画と国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関が共同で選出し、「国連生態系回復の 10年」執行委員会が最終的に承認した。第1弾となる10大プロジェクトにより計6800 万ヘクタールを超える地域を再生し、1500万人近くの雇用を創出。選出されたプロジェクトは国連からの助言や資金提供の対象となる。(c)People’s Daily/AFPBB News