【2月4日 AFP】米シンクタンク「マラソン・イニシアチブ(Marathon Initiative)」の偵察気球の専門家ウィリアム・キム(William Kim)氏は3日、米本土上空で確認された中国の「偵察気球」について、偵察手段として有益で撃墜も困難との見方を示した。

 人工衛星は地上・宇宙から攻撃されやすくなったのに対し、気球には明確な利点があるとキム氏は言う。

 まず、レーダーに映りにくい点だ。「(気球の素材は)反射せず、金属でもない。大型の気球であっても探知するのは難しいだろう」

 さらに、搭載されている機器が小さければ、見落とされる可能性もある。

 地球低軌道を回り続ける偵察衛星と比べれば、監視対象の上空に長くとどまっていられる利点もある。

 キム氏は「こうした気球はヘリウムを使っている。(水素ガスを使い爆発事故を起こした飛行船)ヒンデンブルク(Hindenburg)とは違うので、撃っても炎上することはない」「穴を開けたとしても、少しずつヘリウムが漏れていくだけだ」と述べた。

 さらに、1998年にカナダ空軍のF18戦闘機が所属不明の気象観測気球を撃墜しようとした時の例を挙げ、「20ミリ機関砲を1000発撃ち込んだが、それでも地上に落ちるまで6日かかった。撃っても爆発したり破裂したりすることはない」と説明。

 撃墜に地対空ミサイルを使用する選択肢については、誘導システムの対象として想定されているのが高速で移動するミサイルや航空機であるため、気球には有効かどうかは分からないと述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY