【1月30日 CNS】冬休み、北京市のある青少年囲碁教室で、生徒たちがパソコンを使って対局を学んでいる。デジタル技術が進歩し続ける今、人工知能(AI)技術を導入する青少年囲碁教育は、中国市場でまだ始まったばかりだが、すでにトレンドになり、注目を受けている。

 囲碁は通常の娯楽ゲームとは異なり、中国では古来より対局を趣あることとして親しまれてきた。しかし、アルファ碁(AlphaGo)登場後の7年間で、囲碁界は革命的とも言ってよい変化を遂げた。

 AlphaGoは、人間のプロ棋士に勝った最初のAIロボットであり、囲碁の世界チャンピオンに勝った最初のAIロボットでもある。AlphaGoはわずか2年で人間の棋士を追い越した。AlphaGo研究チームがソフトウェアのプログラムとアルゴリズムを公開したことを受け、多くの国がAI技術を活用し、日本のDeepZenGo、中国の絶芸(Fine Art)や星陣(Golaxy)など囲碁ソフトが登場した。

 現在、囲碁ソフトのアルゴリズムは飛躍的に向上し、プロ棋士がAIを師と仰ぐだけでなく、青少年のアマチュア選手や囲碁愛好家もAI技術を利用している。囲碁AIソフトは、ティーチング、ヒューマンコンピューターによる対局、局後検討の機能だけでなく、盤面の詳細な分析も可能となっている。

 業界関係者は、囲碁のプロ棋士に対するAI技術は破壊的な影響をもっており、青少年のアマチュア選手の囲碁教育への影響も甚大なものだとみている。現在、生徒たちはコンピュータのモニターに向かって囲碁を打つようになり、AIは1秒以内に少なくとも3つの最善の打ち手を示すことができる。

 北京のある囲碁教室の責任者の李梅(Li Mei)さんは、今では、先生たちはほとんど新しい視点と概念で初心者に囲碁を教えていると述べた。教室は囲碁の学習に定量評価を行う際に、AI教学システムを活用し、データによる生徒を育成するだけでなく、AIシステムに生徒一人ひとりのアカウントを作成し、学習進捗を管理している。現在、中国の囲碁教室は主に幼稚園生や小学生を対象とし、そのうち3歳から9歳が大半を占めている。

 中国の囲碁のプロ棋士の古力(Gu Li)九段は、AIは確率をもとに打ち、打ち手ごとに勝率が設定されているとみている。この点で、人間の棋士の線形論理と囲碁AIの思考は根本的に違うのだ。北京の保護者の郭偉(Guo Wei)さんは、囲碁の学習にはAIが良い助けになっており、自分の子供がAIを通じて思考論理や大局観を養うことを期待していると述べた。

 業界関係者は、中国の将棋のデジタル教育に比べ、青少年の囲碁教育のデジタル化はまだ先が長いとみている。中国における囲碁のデジタル教育市場の発展は、広大なブルーオーシャンであり、その将来の規模には外部からも期待が集まっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News