【1月27日 AFP】ドイツ政府は、同国製の主力戦車「レオパルト(Leopard)2」をウクライナに供与すると決定した。戦車の供与は、ロシアに対する反転攻勢を強めるウクライナを強力に援護する可能性がある。

 ただ、課題もある。戦車を実戦稼働させるための迅速な訓練と保守管理だ。

 欧州諸国は、近代化させた旧ソ連時代の戦車を数百両供与してきたが、ウクライナ政府は西側諸国が保有する、より先進的な戦車が必要だと訴えてきた。

 レオパルト2は、機能的に最も優れた戦車の一つと世界的に認識されている。欧州各国で運用されていることから、部品や弾薬の調達も容易だ。

■世界が認めた「万能選手」

 レオパルトの製造は、米国製戦車「M48パットン(M48 Patton)」と入れ替えるため1970年代後半に始まり、改良型のレオパルト1やレオパルト2は、強力な火力や機動性、強固な装甲で知られてきた。

 独日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)はレオパルト2を、ドイツの戦車製造業界における自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ(Golf)」のような存在だと形容し、「世界が認めた万能選手だ」と評している。

 重量約60トンに及ぶレオパルトは、ドイツの武器産業企業クラウス・マッファイ・ベクマン(KMW)が開発し、これまでに約3500両が造られた。

 120ミリ滑腔(かっこう)砲を搭載し、走行しながら敵と交戦することが可能。最高速度は最大で時速70キロ、航続距離は約450キロ。

 メーカーの説明によると、レオパルトは地雷や対戦車砲、即席爆発装置(IED)などに対して部隊を守る「全方位防御」機能を有している。また、4人の乗員が広範囲にわたって敵を探知して攻撃を可能にする技術が搭載されている。

 現在運用が続けられているのは、レオパルト2A4からA7の型。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、2000年代初めに生産されたA6型は、旧型モデルに比べてより強力な主砲を搭載している。ドイツは、レオパルト2のA5からA7までのモデル計320両前後を保有している。

 ドイツ政府に対して戦車をウクライナに送るよう圧力を強めてきたポーランドは、レオパルト2A4型を、ウクライナに14両供与する意向を示している。IISSによると、A4型は1980年代中盤に生産され、装甲や火力の電子制御システムに改良が施されている。