【1月25日 Xinhua News】中国黒竜江省(Heilongjiang)牡丹江市(Mudanjiang)の大海林林業局双峰営林場に「中国雪郷」という民宿エリアがある。長白山脈の張広才嶺と老爺嶺がつながる地点に位置し、冬場は日本海の湿った空気とロシア・バイカル湖からの寒気がぶつかることから雪質は粘り気を持ち、「雪きのこ」「雪のカーテン」などの景観が人気を集めている。

 地元で民宿を営む樊兆義(Fan Zhaoyi)さんは「以前はほとんどの人が伐採で生計を立てていた」と語る。ただ、木材の生産量が減ると木に頼るだけの生活は成り立たなくなり、多くの人が出稼ぎに出たという。

 地理的要因と気象条件により、営林場の積雪期は7カ月に及び、年平均積雪量は2・6メートルに達する。これまでは観光客が訪れることもなかったが、雪景色が多くの写真家を魅了し、切り株に雪がきのこの房のように降り積もった「雪キノコ」の幻想的な写真がネットで広まると、同地を訪れる人も徐々に増えていった。

 営林場が職員に観光業への転換を奨励したのは2000年だった。「当時は試そうとする者はいなかった。最初に民宿経営を始めたのは10世帯足らずで、私もその一人だった」と樊さんは当時を振り返る。

 自信がない訳ではなかった。営林場は林に囲まれていたため風は強くなく、温度や湿度も適度に保たれていた。粘り気のある雪質により、建物などに降り積もった雪は千差万別の姿を作り出した。中国に豪雪地帯は少なくないが、双峰営林場は他とは違った。「四つの客室、70平方メートルで始め、翌年には収入が得られた」。樊さんの投資は無駄ではなく、同時に民宿を始めた人たちの手本にもなった。自宅を改造した民宿からのスタートだったが、04年には70平方メートルの食堂を増設し、18年には400万元(1元=約19円)余りを投じて客室を30室に増やした。

 評判が高まるにつれて観光客も増えた。「中国雪郷」の名は徐々に双峰造林地の名に取って代わり、樊さんの故郷の新たな呼び名となった。雪郷風景区の事業者は現在、200を超える。

 ここ数年はサービスの向上と充実を図り、道路や電気、遊歩道などのインフラも整備した。昔ながらの売店やご当地グッズの販売店のほか、キャンプファイヤーや秧歌(ヤンコ踊り)パレードなどの行事も増やした。

 観光事業のほか、木材製品の不振を解決するため生産や流通、販売の各プロセスに電子商取引(EC)も積極的に導入。短編動画を使ってネットで宣伝したほか、レストランのテーブルに地元食材を使った料理の調理方法を見ることが出来る二次元バーコードを設置し、林業製品の販売促進につなげた。営林場に高山紅景天や林下参、黄芪(おうぎ)など生薬の栽培を導入し、地元の人たちにより多くの就業機会も作り出した。

 観光資源の開発に並行して、森林資源の保護にも力を入れた。中国雪郷は周辺のスキー場などの観光施設とともに2001年に設置が認可された雪郷国家森林公園に含まれるが、森林の経常的な造林と自然更新、育成を基礎として新たに同公園の生態環境改善プロジェクトを始動させ、千ムー(約67ヘクタール)余りの林地の改造と捕植、数万ムーの生態機能エリアの造林を完成。林地の整理や病虫害・ネズミの駆除など通じ、森林の質も高めた。

 大海林林業局の劉書賓(Liu Shubin)書記・董事長は「緑水青山(豊かな自然)を守ることでのみ、雪郷はより美しい雪景色、永遠に尽きることのない金山銀山(宝の山)を持つことができる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News