【1月24日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)唯一の黒人ドライバーであるルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、23日に配信されたポッドキャストの番組で、子ども時代にバナナを投げつけられたり、黒人への差別的表現である「Nワード」を繰り返されたりする人種差別に遭い、それが「トラウマ(心的外傷)になっている」ことを告白した。

 英ロンドン近郊の街で育った38歳のハミルトンは、「自分にとっては学校時代が最大のトラウマになっていて、人生において最もつらい時期だった」と話し、「6歳のときにはもういじめられていた。特に学校ではたった3人しかいなかった有色人種の一人で、体が大きくて力が強いいじめっ子たちに常に振り回されていた」とつらい経験の詳細を明かした。

「何度も殴られたし、バナナとかそういったものを投げられた。Nワードを使ってかなり面白がっていた連中もいた。ハーフカーストと呼ばれて自分がどこに属しているのか分からず、それがつらかった」

 さらに、世の中のシステムが自分にとっては不利で「いろいろなこと」から抑圧されていたとも付け加え、「家に帰ってから両親に、Nワードで呼ばれたとか、学校でいじめられたり殴られたりしたとか言う気にはなれなかった」といい、「自分が強くないと父さんに思われたくなかった」と語った。

 F1で通算7度の年間優勝を誇るハミルトンは、恵まれない環境下にいる人々の生活を支援する慈善団体「ミッション44(Mission 44)」に加え、所属チームのメルセデスAMG(Mercedes AMG)と共同でモーターレースの多様性を改善する慈善活動「イグナイト(Ignite)」を立ち上げている。

 通算17度目のシーズンと3月5日に決勝レースが行われる2023年シーズンの開幕戦バーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2023)を前に、ハミルトンは来月15日にチーム拠点の英シルバーストーン(Silverstone)で新型マシンを披露する予定となっている。(c)AFP