【1月22日 AFP】元フィギュアスケート選手のサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんらから告発され、フランスフィギュア界を揺るがす性的暴行スキャンダルの中心にいた元コーチのジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏(66)が死去したと、21日に同氏の弁護士が発表した。ベイヤー氏は以前から「重病」だったという。

 世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)でペアの銅メダルを獲得したアビトボルさんは、2020年に発表した著書「Un si long silence(こんなにも長い沈黙)」の中で、15歳から17歳だった1990年代初頭にベイヤー氏から繰り返しレイプされたと告発した。

 フィギュアスケート界は閉じた世界だが、この本をきっかけに声を上げる選手が次々に現れ、ベイヤー氏をはじめとするコーチや元コーチを性的暴行やセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)、脅迫で告発するようになった。

 ベイヤー氏については、アビトボルさんは時効を理由に法的措置を取っていなかったが、他に数人のスケーターが被害を名乗り出たことで、権力を持つ者による「性的暴行」と「セクシュアルハラスメント」の容疑で捜査が行われていた。弁護士によれば、同氏の死亡により捜査は打ち切られるという。(c)AFP