【1月21日 Xinhua News】くぼんだ鼻筋、茶色の目、わずかに反った鼻先。中国吉林省(Jilin)の吉林大学生物考古学チームがこのほど、中央アジアの旧石器時代の遺跡「テシク・タシュ洞窟」から出土したネアンデルタール人の少年の頭蓋骨化石を元に、デジタル3D顔貌復元技術で再現した「少年」のイメージを公表した。

 この化石がコンピューターによって3D復元されたは今回が初めてで、中国とロシアの考古学分野で初の国際共同実験室「ユーラシア大陸における環境進化と人類の適応に関する生物考古学国際共同実験室」の重要成果となった。

 1938年に考古学者オクラドニコフに発見されたこの化石は、約30万年前から4万年前の8~9歳の若い個体のもの。ロシア科学アカデミー会員でモスクワ国立大学人類学博物館・研究所所長のBuzhilova氏によると、この化石はアジアで初めて発見されたネアンデルタール人の化石で、欠損がない状態で保存されている唯一のアジアのネアンデルタール人頭蓋骨化石でもある。この発見により、ネアンデルタール人が東は中央アジアまで広がっていたことが証明された。

 吉林大学とモスクワ国立大学は2022年7月から共同実験室を設置し、生物考古学の国際協力を展開してきた。今回の中国の考古学チームによる復元は、考古学分野でよく使われてきた彫塑による復元法をベースに、両国の科学者が目や皮膚、髪の毛などのパーツの色を考慮し、本物に最も近い復元効果を実現した。

 吉林大学の生物考古学チームは、中国の考古学および文化財保護・博物館分野で最も早くデジタル3D顔貌復元に取り組んだ科学研究チームであり、22年には北京老山漢墓の女性被葬者の3D技術を用いた復元に成功し、広く注目を集めた。

 過去20年間、チームは生物人類学、疾病考古学、分子考古学によってサポートされたデジタル3D顔貌復元技術システムを作り、浙江省(Zhejiang)の良渚(りょうしょ)古城遺跡や湖北省の曽侯乙(そこういつ)墓など、多くの遺跡から出土した古代人類の頭蓋骨をデジタル3D復元し、文化遺物の「蘇生」に貢献してきた。

 Buzhilova氏は「新たな復元により、ユーラシア大陸の先史時代の人類の容貌を再現することに成功し、個人的な特徴もはっきりと表現することができた」と述べた。専門家は、今回の復元がユーラシア大陸の先史人類の顔の形をはっきり示すとともに、中央アジアのネアンデルタール人の形態学的特徴と環境適応性をさらに研究・展示するための新しいアイデアを提供したとの見方を示した。

 吉林大学生物考古学チームの責任者、張全超(Zhang Quanchao)氏は、考古学分野における中国とロシアの協力は、ネアンデルタール人の研究にとどまらず、より多くの最先端の学術問題について、世界の考古学研究に中国の解答を提供していると説明。今後もロシアや「一帯一路」沿線諸国との文明交流・相互学習を強化していきたいと述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News