■頻発する停電

 エジプトの人口1億400万人の97%が、国土面積のわずか8%のナイル川沿いに居住している。

 隣国スーダンも似たような状況だ。人口4500万人の半数がナイル川沿いに住んでおり、水の3分の2はナイルに依存している。

 2050年には両国とも人口が倍増する見通し。気温も2~3度上昇するとみられている。

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、ナイル川は気候変動により大きな影響を受けると指摘している。今世紀末には流量が70%も減少し、住民1人当たりが利用できる水の量は現在の3分の1に落ち込む見通しという。

 ビクトリア湖(Lake Victoria)に近いウガンダのナミヤギ(Namiyagi)村で小さな商店を営むクリスティン・ナルワッダ・カレマさん(42)。2016年から電灯を使えるようになった。ナイル川のおかげだ。

 だが、首都カンパラにあるマケレレ大学(Makerere University)気候変動センターのレボカタス・トゥウィノムハンギ(Revocatus Twinomuhangi)氏は、今後も電気を利用し続けることができるとは限らないと警告する。

「雨量が減れば水力発電能力は低下する」とトゥウィノムハンギ氏。「過去5~10年間に干ばつの頻度や激しさが増し、豪雨や洪水、熱波も観測されている。気温は上昇する一方だ」

 ビクトリア湖は500年以内に消滅するとの研究報告もある。家族を養うため小さな庭でバナナ、コーヒーなどを栽培するカレマさんにとって、そうした予測は抽象的で、実感が湧かない。

 より切実な問題は、頻発するようになった停電だ。息子は日没前に宿題を終わらせなければならない。「わずかな収入しかないシングルマザーの私には、ろうそくはとても高価だ」と嘆息した。<※ナイル川シリーズ(3)に続く>(c)AFP/Menna ZAKI in Sudan, Grace MITSIKO in Uganda and Bassem ABOUALABBAS and Sarah BENHAIDA in Egypt