【1月17日 CNS】春節(旧正月、Lunar New Year)が近づくにつれて、中国東北部で親族が集まった際などに出される伝統的料理「蚕蛹(さんよう)」の売り上げが伸びている。蚕蛹とは、まゆをつくる蚕(かいこ)の蛹(さなぎ)のこと。中国では炒めたり、揚げたり、さまざまな方法で食べられている。

 中国メディアによると、2022年12月の最初の3週間だけで、東北3省の遼寧省(Liaoning)、吉林省(Jilin)、黒竜江省(Heilongjian)で蚕蛹の売上は11月の同時期と比較して51%増加した。

「蚕蛹の故郷」として知られる遼寧省西豊県(Xifeng)では、蚕蛹産業は毎年3万人の雇用を生み出している。遅月(Chi Yue)さんは、大学卒業後、故郷に戻り、蚕蛹をオンラインで販売するビジネスを開始した。1シーズンで150トン以上の蚕蛹の注文が殺到した。このため県内で200人近くの農業従事者を蚕蛹の加工に借り出し、冬の閑散期の村民の平均収入が2万元(約38万円)増加した。さらには「蚕蛹温度調節師」「蚕蛹品質検査官」などの新しい職業も生まれた。

 近年、多くの退役軍人や大学生が農村に進出して起業するようになった。現在、遼寧省では 43万8400万人が故郷に戻って起業している。彼、彼女たちは広大な農村で新たなビジネスチャンスを探しており、農村の発展に新たな勢いを吹き込んでいる。

 遅さんは、「蚕蛹の故郷」西豊県からの蚕蛹の出荷を増やし、東北3省向けに販売している。オンライン販売の急増により、より多くの農家の女性が関連の仕事に就くようになった。

 遼寧省養蚕科学院の研究者、李樹英(Li Shuying)氏は「遼寧省の蚕蛹のまゆ生産量は年間約5万トンで、全国生産量の60%を占める特産品になっている」と指摘する。遅さんのような若者が地方に戻り、地元で産業革新を推進し、地方の活性化を後押ししているのだ。

 オンラインでは、蚕蛹1斤(約500グラム)を30元(約571円)で販売している。現在、遅さんが販売する蚕蛹の80%以上がオンラインを通じて販売されており、年間売上高は900万元(約1億7141万円)を超えている。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News