ミラクルナイト(資料=ムーニス)(c)MONEYTODAY
ミラクルナイト(資料=ムーニス)(c)MONEYTODAY

【01月16日 KOREA WAVE】韓国で不眠により病院を訪れた睡眠障害患者が約70万人(2021年・健康保険審査評価院)に達する。従来は、快適な寝室環境を作るためにマットレスを変えたり、睡眠薬の処方を受けたが、最近は寝る前にスマートフォンの睡眠アプリをオンにする――。

「すーっと」眠りにつくようにするスリ―プテック(睡眠技術)市場は大きな成長を遂げている。健康保険審査評価院によると、2011年には約4800億ウォン(約496億円)だった国内睡眠市場の規模は、10年で6倍に増えた3兆ウォン(約3099億円)台に成長した。

こうした成長の勢いに魅力を感じたスタートアップが続々と開発に乗り出した。

個人オーダーメードデジタル睡眠ソリューションアプリ「ミラクルナイト」開発会社である「ムーニス(Munice)」もその一つだ。

同社は今月5日、「ブルーポイント」「トランスリンクインベストメント」「デジタルヘルスケアパートナーズ」などから10億ウォン規模のフリーシリーズA投資を誘致した。既に睡眠アプリサービスがあふれ、流動性がこう着して投資に慎重を期すべきタイミングでの投資だ。

睡眠ソリューションの競争が激しいが、科学・医学的に効果が立証されていないソリューションが多く、問題解決よりは睡眠モニタリングなどに偏っている。

今回の投資を主導したブルーポイントのキム・ユジョン首席審査役は「熟睡のためのユーチューブASMR(自律感覚快楽反応)や瞑想アプリなどを利用する人々がますます増えている。ただ、あくまで『これを利用すれば眠るのに少しでも役に立つのではないか』と、気休めとして使うだけ。実際にその技術の科学・医学的効果を立証されたところはほとんどない」と指摘する。

一方で、ミラクルナイトは、効果が検証された最適な睡眠誘導音をもとに、科学的な睡眠サイクルを作り出すという。

◇脳波を睡眠に誘導する最も効果的な方法

ミラクルナイトアプリをつけてみた。

「今日の気分はどうですか」と尋ねながら、ストレス、不安、疲れ、安らかなどの選択肢を提示する。このうち一つを選べば、周辺環境の騒音を追跡し、利用者の環境に合うモノラルビート(脳波を効果的に誘導する音波の組み合わせの一つ)を聞かせる。

韓国標準科学研究院などによると、脳波は特定の周波数に同期する。これを「脳波同調」という。ムーニスはこの中で眠る時、脳波がどのように同調するかに注目した。

脳波をデルタ波(深い睡眠に入った人から出る脳波状態)のような低い範囲の波長に同期させると、脳は低い速度で電気信号を作り、深い睡眠を誘導する。

脳波を同期させるためには、その周波数のリズムによって発生する音波の組み合わせを作る必要がある。脳波を効果的に誘導する音波の組み合わせは「モノラルビート」「バイノーラルビート」「アイソクロニック」の大きく3つに分けられる。

この中のバイノーラルビットは、他の周波数の音を同時に聞かないと効果が出ない。そのためにはイヤホンを両耳に装着しなければならないが、寝ている長い時間にイヤホンをするのは事実上不可能だ。ユーチューブASMR、瞑想アプリなどがバイノーラルビートを活用する。

アイソクロニックは音自体、異質感が大きく、睡眠音としては適していない。したがって、ミラクルナイトは追加装置の助けなしに効果的で相対的に楽な音を出すモノラルビートを選択した。

ムーニスは、延世(ヨンセ)大学応用脳認知科学研究所と協力して脳波を睡眠に誘導する最も効果的な方法を探す実験を進めた。

このプロセスで一般のモノラルビートよりはるかに強く効果的な「モノラルビートミキシングアルゴリズム」を開発した。これを臨床実験した結果、被験者のデルタ波が平均約18%増加した。

ムーニスはこの技術をもとにミラクルナイトアプリを製作した。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News