【1月23日 AFP】砂ぼこりを上げながら、ロバが駆け抜ける。興奮した観客が見守る中、荷車に乗った御者がロバの背中を棒でたたき続ける。バーレーンの首都マナマの西にあるサール(Saar)村で行われた、伝統のロバレースの一幕だ。

 700メートルレースで「ミリオン」が1着でゴールすると、歓声が上がった。レース後は、ミリオンとトロフィーを手に背後にいる飼い主と写真を撮ろうと、ファンが詰め寄る。

 動物愛護団体はロバレースに抗議の声を上げているが、村人にとっては大切な伝統行事だ。御者の男性は「毎週レースが開催される金曜日が待ちきれない」「大勢が集まる」と話す。涼しくなる冬がロバレースの人気の季節だ。

 パキスタンやモロッコでも人気のロバのレースは、バーレーンでは伝統的なスポーツとされている。しかし、動物愛護団体からは批判されている。

 国際動物福祉基金(IFAW)は、「バーレーンのロバレースは、ロバを守る基準や規則がない。まるで原始的なレースのようだ」と指摘。長年行われてきた伝統だとしてロバレースを正当化するのは「容認できない」と主張した。

 バーレーン政府は、無許可レースや競技で無理な力を用いることを禁止する湾岸協力会議(GCC)の動物愛護法に署名しており、ロバレースを公式に認めてはいない。

 20代の御者の男性は「レースは楽しい」「これからもレースが続けられればと願っている」と語った。(c)AFP