【1月12日 AFP】世界的アパレル大手が、サプライヤーであるバングラデシュの縫製工場に不公正な取引慣行を押し付けているとする報告書が11日、公表された。一部のブランドは、生産コストを下回る価格で商品を買い付けているという。

 調査は、英スコットランドのアバディーン大学(University of Aberdeen)とアドボカシー団体トランスフォームトレード(Transform Trade)がまとめたもので、世界的なアパレルメーカーや小売業者に商品を供給しているバングラデシュの工場1000か所を調べた。「コロナ禍で製造業者が直面した不公正な取引」に焦点を当てている。

 この結果、発注の取り消しや支払い拒否、値引き交渉や支払いの先延ばしなどのうち少なくとも1種類を経験したことがある工場が、半数以上に上った。

 こうした不公正な取引が賃金減額や人員削減、従業員の離職率の高さにつながっているほか、全体の2割の工場が、不公正な取引により最低賃金さえ支払えない状況に陥っている。

 コロナ禍の2020年3月以前の発注について、値下げを要求してきた企業もあったという。一部の大手企業は、コストが高騰しインフレが進んでいるにもかかわらず、価格交渉に応じなかったとしている。

 不公正な取引を求めるのは、スウェーデンの衣料品大手「H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)」や英アパレル「ネクスト(Next)」、アイルランドのアパレル「プライマーク(Primark)」、「ザラ(Zara)」などを展開するスペインの「インディテックス(Inditex)」など大手が「多数を占める」と、サプライヤーは指摘している。

 ドイツのスーパーマーケット大手リドル(Lidl)は指摘に対し報告書で、「調査結果を非常に重く受け止めている」と述べている。

 AFPは報告書に名前の上がった企業にコメントを求めたが、すぐには回答は得られなかった。(c)AFP