【1月13日 Xinhua News】中国科学院南京地質古生物研究所はこのほど、同研究所の古生物学者が「澄江動物群(雲南省澄江地域で発見された5億2千万年前の化石群)」を代表するアノマロカリスの化石を再研究した結果、同種が独特の形態を持ち、過去に命名された種のいずれにも属さないことを発見したと明らかにした。研究チームは新たな属と種を規定し、同種を「帽天山開拓蝦(Innovatiocaris maotianshanensis)」と命名した。

 アノマロカリスは5億年以上前のカンブリア紀初期に出現。特異な形態を有し、最長で2メートルを超える体長を持つ同種は、最初に海の覇権を握った最上位の捕食者とされる。今回の化石は、雲南省帽天山の澄江動物群で見つかったもので、5億1800万年の歴史を持ち、同動物群を代表する化石の一つとなっている。

 研究チームはこの化石について、形態解剖による詳細な研究を改めて実施。研究に参加した同研究所の曽晗(Zeng Han)副研究員によると、他のアノマロカリスと同様、泳ぐための櫂状の体節と呼吸のためのえらが対になった流線型の胴体を持ち、頭部には多数のとげが生えた一対のはさみと大きな複眼、その下には放射状の口器がある。しかし、尾には非常に細長い尾叉(びさ)が一対生えている点が特徴的で、前爪の詳細な形態も他のアノマロカリスとは明らかに異なっていた。

 こうした形態的特徴の差異に基づき、研究者はこの化石種が、過去に命名されたアノマロカリス分類群とは異なると判断。研究チームは新たな属と種を規定し、命名した。

 さらに、研究者が進化的解析を実施した結果、同種がアノマロカリス分類群の進化の起点に非常に近いことが判明。研究を主導した趙方臣(Zhao Fangchen)研究員は、「今回の研究により、アノマロカリスの起源とカンブリア紀初期の生命進化をさかのぼる重要な新しい証拠がもたらされた」と語った。

 研究成果はこのほど、英地質学雑誌「Journal of the Geological Society」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News