【1月12日 AFP】かつてはパンクのゴッドファーザーの異名を取り、時にはフランス語でシャンソンを披露するなど、変幻自在の音楽活動を続けてきた米歌手イギー・ポップ(Iggy Pop、75)。今月6日、自身のルーツに立ち返ったハードロックアルバム「Every Loser」をリリースした。

 最新アルバムには、ロック界からそうそうたる顔触れが集結。「ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)」のダフ・マッケイガン(Duff McKagan)、「パール・ジャム(Pearl Jam)」のストーン・ゴッサード(Stone Gossard)、「ジェーンズ・アディクション(Jane's Addiction)」のデイヴ・ナヴァロ(Dave Navarro)、「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)」のチャド・スミス(Chad Smith)、そして昨年急死した「フー・ファイターズ(Foo Fighters)」のテイラー・ホーキンス(Taylor Hawkins)らが参加している。

 ポップの関連書籍の著者の一人で、フランスでファンクラブを創設したジル・シェプス(Gilles Scheps)氏はポップについて、「デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とルー・リード(Lou Reed)が亡くなった今、まさに最後のモヒカン族だ」と評した。

 3人は1970年代には共に音楽に取り組み、現代のオルタナティブ・ロックの礎を築いたが、ポップが他の2人のような認知度を得るまでにはより長い年月を要した。

 同じく関連書籍を出版しているジャンシャルル・デグルー(Jean-Charles Desgroux)氏は、「ポップは自国の米国では認められず、ファンを獲得できなかった」と説明する。

 しかしその後、ポップとそのバンド「ストゥージズ(The Stooges)」はアイコン的存在となり、また次世代のアーティストは彼のソロアルバムの多くを道しるべとするようになった。

 さまざまなジャンルに取り組んできたのは、ポップが世の中で受け入れられるようになった表れでもある。

 ポップ自身は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、「(音楽を)始めた頃は需要がほとんどなかった」が「今はもう十分過ぎるほどある」と話している。(c)AFP/Philippe GRELARD