【1月11日 東方新報】「お茶の国」中国で近年、コーヒーブームが続いている。街角にはカフェが林立し、最近では中国茶とコーヒーをブレンドした「ティーコーヒー」が「中式(中国式)珈琲」と呼ばれて流行となっている。

 中国の都市部ではカフェの王者・スターバックス(Starbucks)が君臨。昨年9月時点で全国の店舗数は約6000店に上り、2025年には9000店に増やす計画だ。スタバにとって中国は本拠地の米国に次ぐ市場となっている。日本のドトール(Doutor)やカナダのティム・ホートンズ(Tim Hortons)、英国のコスタコーヒー(Costa Coffee)も参入している。

 1杯30元(約585円)以上のメニューが多いスタバに対し、中国新興チェーンの瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)やManner Coffeeは15~25元(約292~488円)の価格帯でコーヒーを提供。ラッキンコーヒーは2019年から全国展開を始めたばかりだが、1999年から中国に進出しているスタバを店舗数で上回っている。地方都市を中心に出店する幸運珈は10元(約195円)未満のコーヒーを主力に勢力を拡大している。2020年末時点で中国には10万8000店のカフェがあり、上海市は世界で最もカフェが多い都市となっている。

 中国では数年前からミルクティーブームが起き、「喜茶(HEYTEA)」「奈雪的茶(NAIXUE)」などのチェーン店が人気だが、そのベテラン店員(と言っても数年間の勤務程度だが)をコーヒー業界が引き抜き、急増のコーヒー職人に仕立てている。

 チェーン店以外のカフェも増えており、家を出てすぐコーヒーが飲めるという意味で「玄関先でコーヒーを」という言葉も聞かれるようになった。上海市黄埔区(Huangpu)では野菜市場にカフェが登場。付近住民の要望に応えたもので、8時から午前0時まで営業している。中国の若者の間ではオシャレに中国の伝統文化を取り入れる「国潮スタイル」がはやっており、古典的な中国建築の中庭で中国の茶器を使い、コーヒーをたしなむのも人気に。SNSで「映える」スポットを投稿するのに熱を入れる若者たちは、個性的なカフェを追い求めている。

 そして最近はジャスミン茶、烏龍茶、プーアル茶、緑茶などをコーヒーとブレンドする「中式珈琲」が急速に広まっている。香港では以前から紅茶とコーヒーを合わせた鴛鴦茶(えんおうちゃ)が一般的な飲み物として浸透しており、中国でも「茶+コーヒー」という組み合わせが受け入れられている。このティーコーヒーにクチナシ、ツバキ、バラの香りを「調合」した「香水型コーヒー」も次々と登場している。

 市場調査会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)が昨年発表したリポートによると、2022年の中国コーヒー市場は前年比27.2%増の4856億元(約9兆4799億円)となる見通し。同じ成長率が続くと2025年には1兆元(約19兆5221億円)に達するという。

 世界のコーヒー消費量の平均増加率は2%にとどまるのに対し、中国では毎年15%以上増加している。また、中国ではブラックコーヒーはあまり好まれず、中国のスタバで一番人気はコーヒーやクリームをフローズン状にしたフラペチーノだ。中国市場は今後さらに拡大し、ブラックや微糖など新たなフレーバーが次々と受け入れられていくことも予想され、世界中のコーヒー産業の主戦場となっていきそうだ。(c)東方新報/AFPBB News