【1月14日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)文物考古研究所は、漢代長沙王陵周辺の発掘調査でこのほど、新たな進展があったと発表した。総合不動産開発プロジェクトに合わせた発掘調査を2022年10月に実施して以降、前漢時代の墓21基を発掘し、土器・陶器や滑石器、金属器などの遺物234点(組)が出土した。

 発掘現場の責任者、周保冬(Zhou Baodong)氏によると、墓はいずれも小型の竪穴土坑墓で、墓道を持つ「凸」形と墓道のない長方形に分けられる。多くが並んで同じ向きに配置されていることから、夫婦や家族を埋葬した可能性がある。

 M12と名付けられた墓からは保存状態の良い外棺の痕跡が確認された。「Ⅱ」形をしており、墓底の中央部には一列に配置された支柱の跡が五つ見つかった。考古学者は同墓が上下二層構造だった可能性を指摘している。

 出土器物は土器・陶器が中心で、中でも軟陶と呼ばれる低火度で焼かれた陶器が多く見られた。鉄器2点、滑石璧(かっせきへき、璧は円盤形の宝器)2点、瑠璃璧(るりへき)1点も見つかった。

 発掘対象の土地の一部は、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定される「漢代長沙王陵墓群」の建設制限区域内にある。出土した墓のうち、12基が制限区域内に位置していた。

 周氏は「漢代長沙王陵墓群の重要な一部である桃花嶺漢墓の東には3カ所の発掘調査予定地がある。今回発掘した地域は3カ所の中で桃花嶺漢墓から最も遠く、直線距離で約780メートル離れている」と説明。見つかった墓群の年代は桃花嶺漢墓と同じ前漢後期のはずだと語った。

 考古学専門家はこの2年間の調査結果に基づき、漢代長沙王陵墓群東側の建設制限区域には多くの漢代の墓が分布していると指摘する。一部は桃花嶺漢墓の陪葬墓であることがすでに証明されており、これまで得られた考古学材料に基づけば、今回の発掘地域も桃花嶺漢墓などの王陵の陪葬区に属する可能性が高いという。

 周氏は「今回の発掘調査は長沙の前漢墓に関する資料を充実させた。漢代長沙王陵の陪葬区の位置や範囲、周辺集落の有無などを研究するための基礎資料が得られた」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News