【1月22日 AFP】オーストリアの山奥にたたずむ古い修道院が、ティックトック(TikTok)世代の「死ぬまでに訪れたい場所」に挙げられることは普通ならば考えにくい。

 だが、オーストリア・シュタイアーマルク(Styria)州の小さな町にあるアドモント修道院(Admont Abbey)とその図書館は違う。修道院に併設の図書館として世界最大をうたう建築物で、バロック様式の内装がまるでフォトショップ(Photoshop)で加工したかのように「インスタ映え」する場所なのだ。

 英紙デーリー・ミラー(Daily Mirror)はこの図書館を「ミケランジェロ(Michelangelo)の(フレスコ画で知られる)システィーナ礼拝堂(Sistine Chapel)に区敵する美しさだ」とたたえた。

■SNS通の修道士

 修道士23人のうち2人は、修道院のオンライン広報に積極的に取り組む。神学同樣、「コンテンツ」という概念にも精通し、「オンラインで宗教的な助言」もする。図書館ではバーチャルツアーも提供している。

 2018年には毎月1万人しか訪れていなかったフェイスブック(Facebook)ぺージへのアクセスは順調に伸び、今では2500倍、つまり月間2500万人が閲覧するようになった。


 広報担当者によると、以前は知る人ぞ知る名所でしかなかった修道院は、今や国際的な「集客力」を持つようになり、十数か国の旅行や文化関連のサイトで写真や動画が紹介されている。

 18世紀に建てられた図書館では、全長70メートルのホールに7万点の書籍が所蔵されている。

 図書館を管理する神父のマクシミリアン・シーファムラー(Maximilian Schiefermueller)氏(41)はAFPに対し、研究者や歴史家からの質問以外にも「写真撮影やファッションショーでの利用」といった、さまざまな問い合わせがあると語った。

 こうした問い合わせについては、慎重に見極めなければならないと神父は話す。

「結局のところ、ここは修道院ですから」 (c)AFP/Blaise GAUQUELIN