【2月5日 AFP】アルバニア南東部にある紺ぺきのプレスパ湖(Lake Prespa)。その水面を見下ろす山中で、バルカンオオヤマネコを絶滅から救うための取り組みの一環として追跡調査が行われている。

「森の幽霊」とも呼ばれているバルカンオオヤマネコは、アルバニア、コソボ、北マケドニアにまたがる山地で群れをつくらずに生息している。アルバニア、コソボ、北マケドニアにまたがる山地に生息し、単独行動を好む。森林伐採と密猟の影響で、世界で最も絶滅の危機に瀕(ひん)した哺乳類の一つだと専門家は警告する。

 一昨年の評価によると、バルカン(Balkan)半島の3か国合わせても生息数は40頭に満たない。中でも、1980年代には200頭以上確認されていたアルバニアでの減少スピードは著しく、今や10頭以下となっている。

 アルバニアの自然環境保護団体PPNEAはこの15年間、バルカンオオヤマネコの保護に努めてきた。AFPの取材中、PPNEAの個体数回復プログラムに参加する2人の専門家はプレスパ湖畔のマリイタテ(Mali i Thate)山中に自動撮影カメラを慎重に設置していた。

 2021年11月にはこの地域に設置されていたカメラが、北マケドニアから流入したオオヤマネコ1頭を捉えた。専門家は個体数の回復を示す良い兆候だと喜んだ。

 PPNEAの代表によると、回復プログラムを協力して推し進めるアルバニア、コソボ、北マケドニアの3か国は、オオヤマネコが繁殖可能な保護区を創設。またハンターや一般市民に対する絶滅危惧種についての啓蒙(けいもう)活動も行っている。2020年に開設された情報センターではサマースクールも開かれている。

 だが、北マケドニアのマケドニア生態学会に所属するディメ・メロフスキー(Dime Melovski)氏は、個体数の少なさからバルカンオオヤマネコは「近親交配せざるを得なくなっている」と指摘する。この問題の解決方法の一つは、他地域の雄を繁殖目的でバルカン半島に導入することだと説明した。(c)AFP/Briseida MEMA