【1月11日 People’s Daily】中国江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)は、古くから「製塩所に囲まれた町」として知られている。現在、同市には約683万ムー(約4500平方キロメートル)の干潟があり、同省全体の塩害地域(含塩アルカリ土壌の土地)の約70%を占めている。

 2019年、福建省(Fujian)平潭県(Pingtan)長江澳の菌草実験基地で菌草の粘り強さとその生態的・経済的価値を知った中国工程院(CAE)院士で南京大学(Nanjing University)環境学院の張全興(Zhang Quanxing)教授は、江蘇省の干潟で菌草を育てるアイデアを、国家菌草工程技術研究センターの林占熺(Lin Zhanxi)首席科学者に提案した。

 2021年4月、塩城市で菌草の植え付けが始まった。1年以上経った今、菌草はすでに同市の干潟に良好な変化をもたらしている。

 2022年6月には、福建省平潭県の幸福洋干潟の塩害地域で、林占熺さんのチームが14.7‰もの塩分濃度があった重塩害地域に菌草を植え、3年後には土壌塩分が1.3‰(パーミル)まで下がったという吉報もあった。

 塩城市は平潭県とは気候が異なり、菌草の耐寒性がより強く求められている。研究者たちは現在、塩城市の土地の塩害・アルカリ害問題をよりよく解決するために、同市の自然条件に適した菌草の栽培研究を強化している。

 また、菌草は土壌の生態系を改善するだけでなく、塩害地域のより豊かな生物多様性の基盤にもなっている。塩城市には世界最大のシフゾウ自然保護区の「江蘇大豊シフゾウ国家級自然保護区」がある。不完全な統計によると、干潟沿いには7000頭以上のシフゾウが生息し、そのうち3000頭以上は野生のシフゾウであることが分かった。如何に動物たちの餌を確保するかも近年の保護区での研究テーマとなっている。菌草は、従来の飼料に代わる新たな選択肢と考えられている。

 現在、保護区内に菌草の試験場が開設され、収穫された菌草は一部のシフゾウに餌として与えられている。「シフゾウの摂食状況から判断すると、シフゾウは菌草が好きなようだ」。塩城市シフゾウ研究所の賈媛媛(Jia Yuanyuan)副所長は、菌草がシフゾウの日常飼料として使用できるかどうかについては、さらなる科学的な論証と実験が必要だと説明した。それができれば、シフゾウの餌代が大幅に削減されるだけでなく、野生のシフゾウのもう一つのさらなる食料源となるだろう。

 また、強力な窒素・炭素固定能力を持つことから、菌草の栽培の可能性も広がっている。それによると、外部からの窒素補給に頼る一般の作物とは異なり、菌草は自ら光合成を行い、窒素固定細菌を利用して空気中の窒素を土壌に固定することで、土の肥沃度を高め、化学肥料の使用量を減らすことができる。これはエコロジー農業の発展にとって非常に有益なことだという。(c)People’s Daily/AFPBB News