【1月9日 People’s Daily】近年、博物館ブームが続いている中国。地方の田園地帯でも「農村博物館」が次々と誕生し、自然の中に文化的な景観を形作っている。

 広東省(Guangdong)江門市(Jiangmen)東紅村には2.2平方キロの面積に8か所の農村博物館がある。村内に100年以上前の民家が600軒以上あり、2018年に約560棟を修復。8棟の農村博物館を建て、村民たちが古い農具や家具、日用品などを持ち寄った。モミつき具、漁船、糸繰り車、灯油ランプ…。今では使われなくなった展示品が昔の農業文化と風習を伝える「宝」となっている。

 浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の超山風景区東側には、明と清の時代の伝統的な建築流派である徽派建築の古民家3軒がたたずんでいる。伝統的な蒸し菓子の型枠コレクションを集めた博物館で、浙江省の農村博物館リスト第1弾に選ばれた。6000点を超えるコレクションがあり、一般的な木製や磁器製の型枠、南唐時代の石製の型枠なども展示。さまざまな地域の蒸し菓子文化の変遷を紹介し、菓子作りの体験教室も行われている。

 国際博物館協会副会長で上海大学教授の安来順(An Laishun)氏は「『一方水土養一方人(地域によってその土地ならではの人が育つ)』と言うように、博物館も地域によって特性がある。農村博物館は住民たちがアイデンティティーを高めることにつながっている」と説明。農村観光の魅力を高め、地域の経済発展や村民の収入増加にもつながっているという。

 浙江省は2022年4月、国内初の「農村博物館建設ガイドライン」を制定し、2025 年までに1000か所の農村博物館を建設すると発表した。ガイドラインを作ることで、テーマがあいまいだったり地域とのつながりが欠けたりした博物館作りを防ぎ、同じタイプの博物館が林立することがないようにする狙いだ。

 中央美術学院(CAFA)建築学院の侯暁蕾(%%Hou Xiaolei%%)教授は「農村の環境を保護しながら経済、社会的を活性化できるかどうかは、村人自身のイニシアチブにかかっている」と指摘した上で、 「政府の資金援助、社会の寄付、博物館の自助努力、基金の運営など複数の取り組みを実践して博物館を運営すれば、村人に雇用をもたらし、生活の発展につながる」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News