【1月6日 AFP】世界の気温上昇を産業革命前と比べ1.5度に抑えるとする「パリ協定(Paris Agreement)」の努力目標を達成した場合でも、世界にある21万5000の氷河のうち、49%が2100年までに消滅する可能性があるとする研究結果が5日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 小さな氷河から消滅していくため、質量としては約26%に相当するという。

 研究では、世界の平均気温がそれぞれ1.5度、2度、3度、4度上昇した場合の4通りのシナリオを検討した。

 現在の予想では、実際には2.7度上昇すると考えられている。その場合、欧州中部、カナダ西部、米国、ニュージーランドの氷河はほぼ完全に失われるという。

 論文の共著者であるオスロ大学(University of Oslo)とアラスカ大学フェアバンクス校(University of Alaska, Fairbanks)に所属するレジーヌ・ホック(Regine Hock)氏は「欧州のアルプス(Alps)、コーカサス(Caucasus)地方、アンデス(Andes)、米国西部のような氷河の比較的少ない地域では、どのような温暖化シナリオをたどっても今世紀末までにほぼ全ての氷河が失われる」「つまりこれらの氷河は多かれ少なかれ絶望的だ」と述べた。

 また、気温上昇が4度という最悪のシナリオの場合、アラスカ(Alaska)にあるような巨大な氷河も影響を受け、今世紀末には氷河全体の83%が消滅するとしている。

 数十年にわたる氷河の質量観測とコンピューターシミュレーションによって導き出された今回の予測は、国連(UN)の気候専門家のものよりも悲観的だが、ホック氏は「人間の行動によって質量減少を抑えることは可能だ」と指摘した。

「実際にそれが起きるかどうかは別の問題で、それはむろん政策決定者次第だ」 (c)AFP/Lucie AUBOURG