【1月8日 AFP】ダニー・コーテス(Danny Cortes)さん(42)は、米ニューヨークの街角の風景を捉えたミニチュアを、子どものように情熱を傾け制作している。今にもヒップホップ音楽が聞こえてきそうなほどのリアルさだ。

 ミニチュア作りはもともと単なる趣味だった。しかし、ラッパーの間で作品がもてはやされるようになり、今では競売大手サザビーズ(Sotheby's)などでも作品が高値で取引されている。

「みんな、大人になっても子どもだ」。ブルックリン(Brooklyn)のブッシュウィック(Bushwick)のスタジオで、コーテスさんはAFPに語った。「おもちゃが嫌いな人なんているか? ミニチュアもみんな好きだよね?」

 テーブルには現在制作中の作品が置いてある。薄汚れたぼろぼろの建物の外壁を切り取ったジオラマ模型だ。ふさがれた窓の近くには貧困地域によくある、バスケットゴール代わりのプラスチック製のかごが取り付けられている。

 コーテスさんはポリスチレン製の作品に手を加えながら、「この作品は自分の子ども時代を象徴している」と話した。

「どこもかしこもこんなふうだった。放置されて空っぽで、ドラッグがまん延していた」

■30ドルから1万ドルに

 最新作の一つは、こぢんまりとした中華料理店のミニチュアだ。年季の入った黄色い看板や、落書きだらけの赤と紫色のれんがの壁も再現されている。

 この料理店の近所で育ったラッパー、ジョエル・オーティス(Joell Ortiz)さんが作品をどうしても買いたいと頼んできたという。値段は1万ドル(約130万円)だ。

 最初に売れた作品は30ドル(約4000円)だった。「30ドルももらえてすごくうれしかった」とコーテスさんは言う。

 コーテスさんの作品は、都市のありふれた光景や、日常生活では目に留まらないような普通のものだが、集まるとこれぞニューヨークという風景を創り上げるようなものが詰め込まれている。