【1月8日 People’s Daily】今年に入ってから中国の対外貿易は強い回復力と活力を見せており、特に越境電子商取引(EC)が大きな役割を担っている。
中国政府は11月下旬、河北省(Hebei)廊坊市(Langfang)など33都市・地域を越境EC総合試験区に追加設置すると発表した。総合試験区の設置第7弾で、これで31省の165都市・地域に上る。

 越境EC総合試験区は金融サービス、スマート物流、リスク管理などのシステムを確立し、対外貿易の安定や品質向上に役立っている。最初に設置された浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)では、2015年の設立以来7年間で4万9000社の越境EC販売事業者を育成。 2000件以上の海外登録商標があり、越境ECの輸出入総額は1000億元(約1兆9000億円)を超えた。

 江蘇省(Jiangsu)の越境ECビジネスの成長率は3年間で4倍を超え、越境EC産業パークと育成拠点が90か所以上設立された。海外倉庫も280か所以上設立され、中国と海外諸国を結ぶ巨大経済圏構想 「一帯一路(Belt and Road)」の重要な市場をカバーしている。

 税関によると、中国の越境EC取引の輸出入規模は5年間で10倍近くとなり、対外貿易に占める割合は 2015 年の1%未満から2021年には4.9%に増加した。

 一連の政策により、多くの中小企業が国際市場への参入を加速させている。コーヒーメーカーのHIBREWはOEM(相手先ブランド受託製造)からOBM(自社ブランド製造)に切り替え、海外市場で人気を博している。工具メーカーの小猴工具の距離測定器は売上高が年間60万ドル(約8000万円)を超え、漁具メーカーの漁猪の製品は200か国・地域以上に輸出され、プロジェクターブランドのWEWATCHは輸出開始からわずか1年で輸出額 は4000万元(7億6000万円)に達した。

 商務省の盛秋平(Sheng Qiuping)次官は「越境EC取引が国際貿易のハードルを大幅に引き下げた。現在、3万社以上の企業が越境EC総合試験区のプラットフォームに登録している」と説明する。

 国際貿易には安定した物流システムが重要だ。近年、海外倉庫や輸出優先倉庫、返品用倉庫などの設置が増え、中国企業の海外倉庫は2000以上に上り、面積では1600 万平方メートルを超えている。

 中国マクロ経済研究所戦略政策室の盛朝迅(Sheng Chaoxun)主任は「中国の越境EC取引は革新と発展の重要な時期を迎えている。関連する政策と措置をさらに改善し、海外倉庫の設置を促進する必要がある」と提言している。(c)People’s Daily/AFPBB News