【1月4日 People’s Daily】2022年12月4日午後8時9分、神州14号(Shenzhou14)有人宇宙船の帰還モジュールが着陸に成功した。宇宙ステーションで行われた化学実験のサンプルを確認した後、関係する専門家への引き渡しが行われた。

 帰還したのは冷蔵パックの生物サンプル3点と容器に入っていないサンプルバッグ1点で、うち生物サンプルはイネとシロイヌナズナ、サンプルバッグの中身は特別な容器に入っていない実験サンプル4箱であった。

 イネは人類にとって主な穀物で、将来的に有人宇宙探査機の生命維持システムにおいて主な候補となっている穀物である。宇宙ステーションの微小重力を利用してイネを育てることは、宇宙植物学の重要な研究のひとつである。人類が宇宙空間で長期間生存するには。植物の繁殖に成功することが必須である。今まで国際宇宙ステーションで種子の培養に成功したのはシロイヌナズナ・アブラナ・エンドウ豆の種子培養に成功したのみで、主立った穀物であるイネの栽培成功例はない。

 中国の宇宙ステーション生命科学プロジェクトでは、中国科学院分子植物科学イノベーションセンターの鄭慧瓊(Zheng Huiqiong)氏の研究チームは「微小重力化における高等植物の開花コントロールおよび分子メカニズム」を担当し、世界で初めてイネの種子から次世代の種子までの全サイクルにおける宇宙空間での培養実験を行った。同時に、研究団体はモデル植物にシロイヌナズナを使い、宇宙空間における微小重力下が植物の開花にどう影響するのかに対する系統だった研究を行った。

 同プロジェクトは軌道上で120日間行われ、以下の実験内容が主な成果であった。まず、軌道上でイネの発芽・苗の生育・出穂・種子の形成の全ライフサイクルにおける培養実験に成功し、図像を通した分析を行った。また、摘芯した苗からの再生培養にも成功し、成熟した種子を採取できた。また、またシロイヌナズナの発芽・苗の生育と、3パターンの体内時計コントロールを施した上での開花の鍵となる因子、また宇宙空間での微小重力の影響の図像分析を行い、サンプルを採集した。 

 イネの株は宇宙空間におくとストレスがなくなり、主に茎葉に大きな影響が出ることが分かった。背の低いイネはさらに低くなり、背の高いイネは明確な影響が認められなかった。他にも、体内時計がコントロールされたイネでは、らせんを描きながら生長する現象(回旋運動)が宇宙空間において更に顕著になった。また、イネの再生栽培実験では、20日で新しい稲穂が出た。宇宙空間における再生栽培は世界で初のものであり、イネの生産効率を格段にあげることが期待される。

 また、宇宙空間における体内時計コントロール実験も始めて行われた。突然変異と遺伝子組み換えを利用し、開花の時期をずらした3グループのシロイヌナズナを作り、宇宙空間での生育状況を観察・分析したところ、微小重力下と地上で明らかに差異が認められた。(c)People’s Daily/AFPBB News