報告書:中国の農村教育の発展が顕著 留守家庭児童が10年間で1000万人減少
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【12月31日 CNS】東北師範大学(Northeast Normal University)中国農村教育発展研究院が作成した「中国農村教育発展報告書2020〜2022」(以下、報告書)が12月25日に発表された。「報告書」では、中国農村部における就学前教育、義務教育、高校教育の発展の効果は明らかだが、都市部に比べてまだ遅れており、農村教育の質の向上にはまだ課題があると指摘している。
就学前教育の段階では、「報告書」は、中国の就学前教育は急速に発展しており、農村部の多くの指標には著しい進展がみられると指摘している。2012年以降、中国では教育部門や公的機関が運営する幼稚園が、180.06%増の7万2354園増え、その8割近くが農村部に配置されている。
義務教育の面では、「報告書」によると、2021年、中国の義務教育段階の農村部の留守家庭児童は1199万2000人で、そのうち小学校は777万930人、中学校は422万170人、義務教育の在学生総数の7.59%を占めた。これは、2012年と比べ、1071万8700人、47.20%減少したという。
「報告書」は、2021年には、中国の義務教育段階で都市部に移住する出稼ぎ労働者の子女同伴は1372万4100人になると指摘している。そのうち、子女同伴の90.9%が公立学校に通うか、政府が買い取った民営学校の定員を活用するなどの恩恵を受けている。こうしたことも留守家庭児童の数が減り続けている重要な要因となっている。
「報告書」によると、同伴子女の生徒が公立高校に進学する機会も大幅に増えている。公立中学の生徒と同伴子女の生徒、県内外の同伴子女の生徒の間の公立高校への進学機会の格差がともに縮まってきているという。例えば、2015年に、公立中学の生徒(56.19%)と同伴子女の生徒(31.56%)の公立高校への進学機会の差は24.63パーセントポイントだったが、2021年には15.87パーセントポイントに縮まった。
「報告書」によると、「第14次五か年計画(2021〜2025年)(以下、十四五)」期間中、中国農村部の保護者の教育経験や、教師の専門性、教育環境、子どもの健康と栄養などの面で、より一層の改善、向上、改良の必要があるとしている。国は農村部の教師レベルを向上させるため、一連の政策を導入したが、その効果が現れるには時間がかかるだろう。
東北師範大学中国農村教育発展研究院の鄔志輝(Wu Zhihui)院長はインタビューで、中国の質の高い教育システム建設の課題は農村部にあり、「十四五」期間中、政府部門は農村部の学校の校長と教師に権限を与え、能力を高め、高等教育機関は農村部の学校に対する専門的支援を全面的に強化し、教育法則に合致した教育・指導モデルを積極的に模索し、農村部の学校を現代教育改革の実験室にすべきだと述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News