【12月28日 AFP】自国のウクライナ侵攻を批判していたとされるロシアの地方議員とその同行者が、旅行先のインドの高級ホテルで相次いで急死し、同国の警察が捜査している。地元当局が27日、明らかにした。

 この議員は、富豪としても知られるパーベル・アントフ(Pavel Antov)氏(65)。他のロシア人3人と共に滞在中だったインド東部オディシャ(Odisha)州ラヤガダ(Rayagada)のホテルの外で24日、血を流して死亡しているのが発見された。

 同ホテルではこの2日前、アントフ氏と共に滞在していたウラジーミル・ビデノフ(Vladimir Bidenov)氏が意識不明の状態で発見され、その後死亡が確認されていた。心臓発作を起こしたとみられている。

 一行は今月中旬に同州に到着。数か所を訪問した後、先週初めから同ホテルに宿泊していた。警察は、詳細な検視結果を待ちつつ、防犯カメラ映像の確認や、他の同行者とホテル従業員への事情聴取を進めているが、現在のところ事件性を示す証拠はないとしている。

 地元警察幹部はAFPに対し、ビデノフ氏の心臓発作はアルコールや薬物の過剰摂取が原因だった可能性が高いと説明。一方のアントフ氏については、事故死とみられるとし、「友人の死に心を痛めたのか、ホテルのバルコニーに出て、そこから転落死したようだ」と述べた。

 アントフ氏はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いる与党「統一ロシア」に所属し、2018年からロシアの首都モスクワの東150キロにある州の州議会議員を務めていた。政界入りする前に食品加工会社ウラジーミルスキー・スタンダルト(Vladimirsky Standart)を設立。19年には米経済誌フォーブス(Forbes)ロシア版の長者番付で、同国の議員・政府高官で最も裕福な人物に挙がっていた。

 ロシアメディアは6月、アントフ氏がメッセージアプリのワッツアップ(WhatsApp)で送信したメッセージで、自国政府によるウクライナへのミサイル攻撃は「テロ」だと批判していたと報道。だが同氏は、ロシアのソーシャルメディア「フコンタクチェ(VK)」で、このメッセージは自身が書いたものではないと主張し、ウクライナでの「特別軍事作戦」を支持していると表明していた。(c)AFP