【12月29日 AFP】オレナ・チェクリジョワさん(35)はウクライナの英語教師だ。祖母と同じ道を選んだ。しかし、自分が将来、前線基地で数か月にわたって兵士に英語を教えることになろうとは、夢にも思っていなかった。

 チェクリジョワさんは現在、ロシア軍と戦っているウクライナ兵が米国などからの軍事支援を最大限に活用できるよう、軍事用語を中心とした英語の習得を支援している。

 ウクライナに提供された高機動ロケット砲システム「ハイマース(HIMARS)」といった兵器は、戦局を変える「ゲームチェンジャー」となっている。ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は先週、米首都ワシントンを電撃訪問し、迎撃ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」の供与を含む追加支援も取り付けた。

 だが、提供兵器の取扱説明書の大半は英語で書かれている。外国人義勇兵との意思疎通にも英語が必要となる場面が多い。

 チェクリジョワさんはそういった言葉の壁を取り除くのを支援するため、教室で英文法を教える静かな生活から離れ、兵士向けの集中講座を受け持つことにした。東部の工業地帯ドネツク(Donetsk)州の軍事基地では、5か月間、兵士と生活を共にし、訓練にも参加した。

 現在は首都キーウの施設に駐在している。AFPの取材に応じたチェクリジョワさんは、「私のことを正気の沙汰ではないと思っている人もいる」としながら、「国のため、国民のため、そしてこのテロ攻撃から私たちを守ってくれている軍のためにできる小さな貢献だと考えている」と語った。