【12月29日 東方新報】新型コロナウイルス感染対策を緩和した中国で、全国各地の観光施設の予約が急増し、国内線の航空需要が復活している。

 省をまたいだ移動制限や陰性証明書の提示義務などを緩和する政府の方針が今月7日に発表されると、その直後から大手旅行サイト「去哪儿(Qunar)」にはテーマパークの予約が殺到した。

 人気トップ5は上海市の上海ディズニーリゾート(Shanghai Disney Resort)、北京市のユニバーサル・北京・リゾート(Universal Beijing Resort)、世界各地の名所をジオラマ化した深セン市(Shenzhen)の「世界の窓(Window of the World, Shenzhen)」、海南島の高級リゾート地の「亜特蘭蒂斯酒店(Atlantis Sanya)」、雲南省(Yunnan)の少数民族テーマパーク「雲南民族村(Yunnan Ethnic Village)」。久しぶりの「移動の自由」を満喫しようと、北は北京から南の海南島まで中国全土のテーマパークに人気が集まった。上海ディズニーランド(Shanghai Disney Land)のチケット予約は最大時、通常の22倍に達した。

 国内線の航空需要も一気に進み、航空各社は増便を続けている。12月15日時点の運航便数は1日7350便で、前の週と比べて55%増加。「中国のハワイ」と言われる温暖な気候の海南島や、氷祭りで有名なハルビン市(Harbin)、四川料理と三国志の本場・成都市(Chengdu)などが人気という。12月7日以降の航空券予約は、前の週の約8.5倍となった。

 ただ、こうした予約は来年の春節(旧正月、Lunar New Year、2023年は1月22日)の時期が多い。去哪儿ビッグデータ研究所の郭楽春(Guo Lechun)副所長は「航空会社が需要を回復するまで、まだ一定の時間を要する。来年の春節期間の航空券予約数はこの3年間でピークに達し、コロナ禍以前の8割近くまでは復活するだろう」と分析している。政府系投資銀行の中国国際金融は、国内線の航空需要が2023年にもコロナ流行前の2019年の水準を上回るとの見通しを示している。

 約3年にわたるコロナ禍で、中国各地の観光施設は何度も休園を余儀なくされ、航空各社も便数の大幅削減を強いられてきた。青息吐息の状態が続いてきた業界に、ようやく光が当たろうとしている。(c)東方新報/AFPBB News