【12月30日 東方新報】中国の中古車取引オンラインプラットフォーム「天天拍車(ttpai.cn)」の研究所によると、中国で11月の中古新エネルギー車(NEV)のオンライン取引台数が前年同月比で33.7%増加した。特に米テスラ(Tesla)の「Model3」の中古車取引が急増し、10月の2倍以上になった。

 NEVとは中国独自の定義で、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の3種類を指し、ハイブリッド車(HV)は含まれない。

 最近の3か月、中古NEVの取引は増加を続けている。11月の中古NEVのオンライン入札回数は平均13回で中古ガソリン車を上回っており、同研究所は「中古車業者がNEVの取引に意欲的なことを示している」としている。

 中国では中古車市場は「のびしろ」があると期待されている。2021年の新車販売台数が2627万5000台(前年比3.8%増)に対し、中古車販売台数は1758万5100台(前年比22.6%増)だった。中古車販売の伸び率は高く、新車販売に比べると台数はまだ46%。日本や米国、ドイツなどの先進市場では中古車の販売台数が新車を上回っている。

 中古車市場の活性化を促進するため中国政府は今年に入り、地域をまたいだ自家用小型中古車の取引制限撤廃や、自動車登記の移転手続きの緩和措置などの施策を実施。中国自動車流通協会の沈進軍(Shen Jinjun)会長は「中古車の販売台数は1~2年以内に新車に並ぶ」と期待していた。

 だが、今年1~11月の中古車販売台数は前年同期比8.4%減の1461万1500台に落ち込んでいる。新車の販売台数は同じ期間で3.3%増の2430万2000台となっており、むしろ差が広がっている。

 そんな状況の中、中古NEVの躍進が「希望の星」となっている。ガソリン価格の高騰により、ガソリン車を手放して中古NEVを購入する市民が増加。また、自動車の原材料価格の上昇で新車NEVは値上げが続いている上、半導体不足のため注文から納入までの期間が長くなっている。早期にNEVを求めるユーザーは中古車に目が向くようになっている。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で中古車販売業を営む任浩文(Ren Haowen)さんは2年前、中国西南部で初めて中古NEV専門の販売会社を設立。「中古NEVの性能やバッテリーについて消費者が不安に感じないか心配だったが、中古車販売プラットフォームの瓜子(Guazi)と協力し、販売後7日間は無条件にクーリングオフに応じるなどのサービスを設け、消費者の不安を取り除いた」と説明。2年間で売り上げ台数は1000台に達している。

 中国政府は2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を減少(カーボンピークアウト)させ、2060年までに排出量を差し引きゼロ(カーボンニュートラル)にすることを国際公約に掲げている。ガソリン車からNEVへの移行はその切り札だ。中古NEV市場が活性化すれば、現在のNEVオーナーは一定の価格で車を下取りし、新たなNEVを購入しやすくなる。そして中古NEVの取り扱い台数が増えれば、地方都市などの消費者も手頃な価格で入手しやすくなる。中古NEV市場の拡大は、自動車産業の活性化や国内消費の振興をもたらすだけでなく、中国社会全体の環境改善を促進することにつながる。(c)東方新報/AFPBB News