【12月26日 AFP】ウクライナで25日、鐘の音と聖歌を歌う声が街中に響き渡った。ウクライナ正教会の一部が、1月7日にクリスマスを祝うロシア正教会の伝統と決別し、クリスマス礼拝を開いたのだ。

 首都キーウで礼拝に出席したオルハ・スタンコさん(72)は、息子が東部の激戦地バフムート(Bakhmut)付近でロシア軍と戦っている。

「戦争は非常な悲しみをもたらした。私たちはロシアが敵だということを忘れていた。人が良すぎた」「ロシアと共には祝えない。ロシアの影響下にとどまるのは無理だ」と、涙を流した。

 キーウ北郊ホストーメリ(Gostomel)でロシア軍の占領を生き延びたオレナ・ザハロワホリアンスカさんも、12月25日にクリスマスを祝うのは当然の選択だと語った。「占領者や敵とは何一つ共有したくない」

 キーウ中心部の教会で執り行われたクリスマス礼拝には、コートで厳重に身を包んだ信者が大勢詰め掛けた。

 ミハイロ・オメリヤン首席司祭は説教で、「闇の中に座っていた人は大いなる光を見た。死の影の地に今ある人々の上にも光が輝いている」「光よりも闇を愛した者がいる。行いが邪悪だからだ」と述べ、ロシアを糾弾した。

 インタファクス・ウクライナ(Interfax-Ukraine)通信の世論調査によると、クリスマスの聖日を12月25日に変更することを支持するウクライナ人の割合は昨年の26%から今年は44%に急拡大した。ただ、31%がなお反対している。

 ウクライナ正教会は、少なくとも17世紀からロシア正教会の影響を色濃く受けてきた。しかし、ロシアによる一方的なクリミア(Crimea)半島併合と東部の親ロシア分離独立派支援に反発し、2019年に独立。ロシア正教会との関係を維持してきたモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会も、侵攻から3か月が経過した今年5月、ロシアとの関係断絶を発表した。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET