【12月29日 People’s Daily】フウセイは中国沿岸に生息する食用魚だ。福建省(Fujian)寧徳市(Ningde)の市域内の官井洋海域は、高い山に囲まれ、井戸のように深く、フウセイにとって重要な内湾性産卵場だ。しかし、1960〜1970年代には乱獲により野生のフウセイが激減し、種が危ぶまれるようになった。

 今、フウセイの物語は、新たな章の幕を開けた。寧徳市政府の統計によると、2021年の同市のフウセイの収穫量は19万1000トンで、全国の養殖の収穫量の8割を占め、生産額は69億1800万元(約1314億300万円)に達した。数十年にわたる政府部門、科学研究機関と漁民の努力のもと、地元は、科学的な育種、環境整備から始め、フウセイの種を徐々に復元させ、現在では、フウセイの大規模な科学的養殖を行うようになった。フウセイは、再び人々の食卓に「回遊してきた」のみならず、産業の質の高い発展も実現させた。

 2018年7月、寧徳市党委員会と市政府は、海面総合整備と養殖業の構造転換・高度化を全面的に実施し始めた。複数部門による「一つのネットワーク」を推進し、海域使用権の帰属を明確にし、グリッド管理の海上養殖の新秩序を確立させ、海洋養殖の混沌を是正したことが効果を挙げた。これまでに、合計142万7300の旧式の漁排(海上建築、養魚基地、漁民の家等の集積)を整理・アップグレード・改造し、10万6000トンの漂着ごみと538万個の発泡フロートを清掃した。

 また、養殖施設のアップグレードも本格化している。寧徳市海洋・漁業局の黄少元(Huang Shaoyuan)調査研究員は、同市には現在44万のエコを重視した網いけすがあり、省、市、県の各レベルで合計45億元(約854億円)以上を投資したと紹介した。新型のものでは深さ12メートル、縦横26メートルで、網いけすの下には深い海水があり、魚が流水に生息し、水産物の生産量と品質がともに向上している。 

 生態系の復元と構造転換・高度化をベースに、現地は技術的手段によって「海上の牧場」を運営し、スマート養殖を実現した。

 現在、フウセイの産業価値は絶えず開発され、種苗、養殖、加工から、コールドチェーン輸送、ブランドマーケティングに至るまで、寧徳市はこれを生産額100億元(約1900億円)の産業にしている。フウセイは、インターネット上でも 「泳ぐ」ようになっている。漁民はライブコマースやニューメディアなどの販路を開拓し、多くのローカルブランドが現れた。お惣菜のオンライン販売での人気は、地元の水産会社の発展をけん引した。加工品が日本と韓国に輸出され、冷凍魚の年間売上高は3000万〜4000万元(約5億7000万〜7億6000万円)となっている。

 現在、三都澳(Sandu’ao)の漁民は魚を養殖して売るだけでなく、「海の景色を売る」こともできる。福安市(Fu’an)の下白石鎮、霞浦県の七星村、蕉城区(Jiaocheng)の秋竹村、福鼎市(Fuding)の安仁村などの新しい漁村は、水が澄んで景色が美しく、人々は漁排の上に美しい海の宿を次々と建て、漁と観光を融合した発展の新たな道を歩み始めている。(c)People’s Daily/AFPBB News