【12月26日 People’s Daily】東西に古い塔がそびえ、南北に道が走る。福建省(Fujian)泉州市(Quanzhou)は2キロにわたる中山路が旧市街地を南北に貫き、ベランダ付きの家々には、泉州の伝統的な特色と海上貿易文化の融合が見られる。商店街の街並みは中国と西洋の調和を感じさせ、泉州市の発展の歴史を伝えてくれる。

「海のシルクロード」の重要な起点として、福建省泉州市は唐代半ばに興隆し、宋元期には「東洋一の港」として発展した。近年、泉州では伝統と現代の出会いを大事にし、歴史文化地区保護プロジェクトを実施して、精密化・科学化・スマート化した管理を使い、街をアクティブな状態に保ちつつ保護を行う。

 夕刻、75歳の鄭衛治(Zheng Weizhi)さんは外に出かける。路地の入り口では近所の人々がとうに茶道具を並べて、いつものおしゃべりを待っている。路地に入ると、開いたばかりのスタイリッシュなコーヒー店が街ゆく観光客を引きつけている。

「このような生活は、一年ちょっと前には想像もしませんでした」。鄭衛治さんが住む金魚巷は基礎インフラが行き届かず、生活は不便だった。「空は電線がびっしり行き交い、地面の石畳はでこぼこで、雨が降れば泥んこで歩きづらかったんですよ」

 2017年10月、泉州市は全国初の旧市街地小路再開発規範プロジェクトとして、金魚巷の再開発を始動させた。再開発責任者の荘勝宏(Zhuang Shenghong)さんは何度も同地域を訪れ、人々の生活の形を変えず、文化への影響を最低限に抑える「小さな再開発」をすることに決めた。

 パイプ・ケーブルは全て地下に埋め、雨水管・汚水管を分流式にし、電気や水の供給をアップグレードさせ、質・量ともに向上させた。また、地域の隅々までくまなく緑化を進めた。荘勝宏さんによれば、これには工芸品の修復と同じように苦心が重ねられており、特に唐宋時代から中華民国時代までの各時代の要素や、閩南文化の昔ながらの味わいを残すことにこだわったという。

 ハード面がアップグレードされると、ソフト面の速やかな更新が待たれる。泉州市は街角の生活文化から旧市街地の刷新を実現し、市井の人々の間から古都の文化を広げ、多様性のある文化空間をつくり、発展のなかで歴史と文化ある地域を守っていこうとしている。

 民間芸能の保持者が街角の文化の構築に参加するよう、泉州市鯉城区(Licheng)は楽器・歌唱・無形文化財など、さまざまな才能を持つ民間芸能の保持者を募集・登録・指導を通して、条件に合った文化ボランティア証の発行などを行い、垣根のない文化展示を行おうとしている。現在、50人の民間芸能の保持者が、中山路付近に13か所設けられた公演スポットで活動している。

 他にも、泉州市は過度な商業化を避け、古都の良さを引き出した発展をリードするために規則や規範を設定し、無形文化遺産の継承者や職人、老舗などに優遇を与えるなど、特色ある文化的産業の育成に力を入れている。(c)People’s Daily/AFPBB News