【12月25日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで、ウクライナの子どもに贈る新年のプレゼントの発送準備が進んでいる。1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に自分たちが受けた親切を、ロシアによる侵攻の真っただ中にいるウクライナの子どもたちに届けることで、親切のリレーをつなげたいとの気持ちからだ。

 34歳の女性は、「小さな物に見えるかもしれないが、寒い中、必要最小限の物もない状態で暮らしている子どもにとっては大きな意味がある」と述べた。「1992~95年のボスニア紛争時に子ども時代を過ごした人なら分かると思う」

 この女性は子どもの頃、デンマークに逃れたボスニア難民の少女からプレゼントを受け取った。92年に始まり3年8か月続いたサラエボ包囲中の最も大切な思い出の一つだと言う。

 ウクライナではいま、ロシアによるインフラ施設攻撃の影響で、ひどい寒さの中、電気も水道もない状態で大勢が暮らしている。

 サラエボにある「子ども戦争博物館(War Childhood Museum)」のホールや廊下には、ウクライナと隣国ポーランド行きを待つ色とりどりのプレゼントが並べられている。2月の侵攻開始以来、ポーランドは100万人を超えるウクライナ難民を受け入れてきた。

 35歳のアナさんは、「14歳の女の子」向けのプレゼントを持ってきた。中身はデッサンセット、ネックレス、スカーフと帽子、チョコレートとビスケットだ。アナさんが、ボスニア紛争中にフランスに住むマリーという少女から受け取ったプレゼントとほぼ同じ内容だ。プレゼントには手紙もついていたという。

 現在はフランス語を教えているアナさんは「その贈り物は本当に特別なものだった。離れたところに友達がいるような気持ちだった」「これは私がその時に受けた善意を、別の人に伝える機会だ」と語った。(c)AFP