【12月22日 AFP】フランスのクリスマスのごちそうとして食卓に並ぶ極上の珍味、フォアグラのパテ。だが昨年の冬に発生した鳥インフルエンザのために今年は品薄で、値段も高騰する見込みだ。

 フォアグラとして通常流通しているのは雄のアヒルやガチョウの肝臓だが、感染拡大を阻止するために数百万羽が殺処分されたことを受け、一部の農家ではこれまでに前例のない手段に打って出た。雌の個体から取り出したフォアグラの出荷だ。

 雌の肝臓は雄のものと味自体は変わらないが、はるかに小さく処理に手間がかかる。生産者の収益への影響は避けられない。

 ジェール(Gers)県フォアグラ流通委員会のベンジャミン・コンスタント委員長は、とりわけ高品質の新鮮なフォアグラでは、雌を使うのは一時しのぎにすぎないと語った。

 フォアグラとして使う肝臓は静脈を取り除くが、雌の静脈はかなり大きく除去に手間がかかる上、新鮮なフォアグラの滑らかな触感を求める客に人気がない。

 フランスは世界最大のフォアグラ生産国であり消費国。一部の都市では公式行事でのフォアグラ提供が禁止されたが、アヒルだけで毎年3000万羽がフォアグラ用に飼育されている。

 だが、2021年に飼育されたアヒルは、2度の鳥インフルエンザ流行のため2100万羽にとどまり、今年はさらに1500万羽まで激減すると予想されている。

 今年のフォアグラの価格は雄雌にかかわらず、1キロ当たり55~60ユーロ(約8000~8800円)。コンスタント氏によると、通常より15~20ユーロ(約2200~2900円)高い。「業界にとって、破滅的な年だ」と語った。

 映像は11月に撮影。(c)AFP/Francois BENEYTOU